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個を活かす共同化の時代

 戦後、我が国は同一業種、同一機能の量的集積の画一的で縦形の社会経済構造を築いてきた。しかし、国際化をはじめ、あらゆる変革が押し寄せている大構造転換期に直面し、従来型のシステムは少しずつ変化し始め、ここにきてその速度を速めている感が強い。
 中小企業政策もまた、しかりである。かつての中小企業政策、それは業界ごとの同業者中心の産業ナショナリズムが底流にあった。そして業種ぐるみで設備近代化やスケールメリットを追求してきた「中小企業近代化促進法」が今日的にそれが十分対応できないとして、個別企業の創意工夫を活かした経営革新を支援する「中小企業経営革新支援法」に様変わりしようとしている。
 「集団」から「個」、「量的対策」から「個別企業対策」への転換である。時代が変われば中小企業も変わり、それを受け入れる制度も変わってしかるべきである。改革を遂げられない企業は新しい環境の中では生き残れないことを意味し、中小企業は自己経営を客観的、合理的に見極めて自己革新してこそ勝ち残るチャンスがあるといえる。
 そして、個別企業対策が叫ばれる中においても、中小企業の共同化は以前にも増して重要になっていることを私は主張しておきたい。
 情報、技術、人材等のソフトな経営資源の集積化や共有化によりコストダウンをはかったり、製品開発、販路開拓を進めることがより必要になってきている。このところ、産廃処理など社会コストの共有化などで頑張っている組合も多い。
 それは意欲ある中小企業者が経営戦略上、他の企業者と経営資源としての情報や相互啓発を軸とした連携を深めたりして新たな付加価値を創造し、実現することにある。共同化を攻めの戦略として活用することに他ならない。
 大変革の時代を乗り切るには六五〇万、バイタルマジョリティとしての地域中小企業者の共同の力、新しい何かが不可欠であると確信している。
 二一世紀は個別中小企業のヤル気をサポートする共同化の時代になるという方向が強く指摘されるのではないかと思う。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(1999年 6月号 No.547)