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特集

平成20年度の組合設立
全新設組合の概要とその目的

主目的は共同受注がトップ

前年度(19年度)、共同受注事業を主事業に据える組合は、平成に入って以降初めてゼロとなったが、20年度は5組合を数え、再び共同事業の主役の座に踊り出た。

協同組合GTネットワークは、自動車部品加工の受発注を通じ、ノウハウを共有してきた金属製品塗装やパイプ加工、自動車部品製造など浜松市内の4社が設立。四輪や二輪などの部品加工を共同受注することで一貫加工やリードタイム短縮の実現を図る。

同じく浜松市内で自動車各種附帯サービスに携る8社が“ワンストップリフォーム”を掲げ立ち上げたのが、静岡自動車周辺サービス事業協同組合。組合員工場を共同施設として利用し、陸送から完成に至る再生修理サービスを共同受注。時間や経費のロスを抑え、顧客への利便性を向上させる。

旧大井川町発注の一般廃棄物収集運搬業務を請負う廃棄物収集運搬業者4社が、家庭系一般廃棄物(可燃ごみ)処理の共同受注を目的に設立した大井川環境協同組合。焼津市発注の収集運搬業務を一括受注し、組合が一元管理。質の高いサービスを継続的に提供する。

島田建築設計監理協同組合は、島田市内の建築設計事務所5事業者が団結。互いの技術や経験を持ち寄って有機的に連携し、官公庁や民間の大型物件の受注を積極的に獲得していく。さらに、組合員が受注した設計図書の共同検査も実施。共同化のメリットを発揮していく。

三島市などで建設関連業に携る4社が組織した静岡東建協同組合は、高い技術をもつ信頼できる地域の建設業者に発注を望む声を受け設立。建設や造成、解体など各種工事の共同受注やそのあっせんを実施。今後は大型物件受注に向け、建設業許可の取得も予定する。

主要事業(設立目的) 10年間の組合主要事業の変遷

前年度、共同受注をメインに据えた組合はゼロに終わったが、20年度は5組合誕生。

共同購入でコストの削減を

原材料費の上昇や取引先などからのコストダウンの要求などに共同で対処しようと4組合が共同購入を主事業に掲げた。良質で低価格な共通品目を海外から共同購入する組合も目立つ。

大手自動車メーカーの系列企業5社が新たな活路を見出すため、団結したのが竜洋オートパーツ協同組合。全組合員に共通する資材の共同購入を通じ、大幅な仕入コスト削減を図るとともに、その保管庫を組合で設置。物流コストの低減にも効果を発揮させる。

静岡ビジネス開発協同組合の組合員4人は、いずれも雑貨を中心とする各種商品の卸売業者。共同購入を通じ、海外取引先に対する信用力の向上やロット価格、輸入コストの引き下げ、商品情報の共有、輸入事務の軽減など共通するメリットを得る。

食品リサイクル事業協同組合は県内の飼料製造業9事業者が結束した。醤油製造会社から醤油搾りかすを共同購入。組合員はそれを原料にリサイクル飼料を製造し、共同販売事業を通じて飼料卸会社等に供給。安定した販路確保に加え、循環型社会の実現にも貢献する。

環境問題に対する高い意識をもつ焼津市や掛川市、静岡市、藤枝市の建設業4社が設立した協同組合SKS。建設廃材などを収納する際に必要なフレコンバッグをはじめとする建設資材を共同購入。将来的には、建設資材の再利用などリサイクルシステムや生活環境事業の研究も視野に入れる。

組合を活用し地域資源を売り込む

地産地消や産地のブランド化を進めるため、組合を活用しようという動きも活発だ。

干物や雑節加工など水産加工品の製造が盛んな沼津市静浦地区の水産食料品製造業者が静浦水産加工協同組合を設立。干物や雑節、釜揚げシラスなど静浦の特産品を詰め合わせたパックなどを共同販売する。さらに“静浦ブランド”を幅広く周知させるための共同宣伝を展開し、知名度向上やブランド力の強化を進める。

御前崎地産協同組合は、御前崎市の調理学校や観光ホテル、農業、酒屋、水産業など7事業者で構成する特産品開発研究会を母体に法人化した。御前崎の地場産品の共同宣伝や地元産食材の共同販売、地元農産物の共同生産など、多岐にわたる事業を計画。地域の活性化につなげていく。

企業組合で地域経済の活性化を

創業者支援施設や宿泊体験施設など、施設運営を通じ、地域経済の活性化に寄与しようとふたつの企業組合が立ち上がった。

企業組合ビジネスコラボは、三島市のベンチャー育成施設SOHOみしまの運営母体が解散したことに伴い、それを引き継ぐ形で施設運営に携ってきた者らが設立。施設の運営をはじめ事務代行、研修会や交流会の開催などを引き続き展開。あわせて産学官の連携推進や創業の促進、新産業の創出などを通じ、地域活性化に寄与していく。

島田市笹間地区の廃校となった小学校を改修してオープンした島田市山村都市交流センター“ささま”の運営を担うため、地域の有志らが企業組合くればを設立。施設の管理運営のほか、竹細工や鮎つかみ取り、蕎麦打ち体験などの実施、農村公園の管理受託、農林産物の加工販売など、地域資源を最大限に活用した事業を展開。地域の魅力を発信する。