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視点・指導員の現場から

創業の精神薄れて 企業の不祥事続出

どうしたことか、企業の不祥事が続発している。

消費期限切れの原料を使用した不二家、ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故で強制検査を受けたパロマ工業、「発掘!あるある大辞典2」の実験データ捏造の関西テレビ、企業買収に絡む不正会計を指摘された日興コーディアルグループ、プロ野球西武の裏金提供と発覚後の隠ぺい工作、東京・東北・北陸電力の原発トラブル隠しなど「おわび」会見が日常茶飯事化している。

前兆見逃す甘い体質

不祥事の内容は様々だが、不祥事を発端に一瞬で信用が崩れ、あっという間に沈んでいく企業も多い。

原因を探っていくと、幾つかの共通点が見られる。永年にわたる同族経営の欠陥、ワンマン経営者の独裁、そして利益優先の経営観と「悪い情報は上部に伝わらない」「忠告する者は遠ざける」風土が重なり、コンプライアンスを守れない体質を作ってしまっている。

こうした体質が、不祥事を生み、発覚しても隠ぺいして傷口を広げるという対応の悪さに繋がっている。企業の不祥事には必ず前兆がある。その時、どういう対応をとったか、とれたかで行く末が決まる。

その後を見ると不二家は山崎製パンの傘下に、関西テレビは民放連から除名され総務省の警告を受けた。三大証券の一角、日興コーディアルグループも米金融大手のシティグループによるTOB(株式公開買い付け)成立でその傘下に入った。

また捏造、ルール軽視、隠ぺいといった不祥事は今や業界の悪しき体質批判へと事件性が波及している。

テレビ番組の捏造は他局でも行われ、野球の裏金問題はアマチュア球界を巻き込み、電力会社のトラブル隠ぺい、データ改ざんは306事例、不正延べ件数は1万650件に上った。

初心忘るべからず

不祥事を起こした企業は、どこも優良企業で通ってきた。各社とも立派な社是、経営理念をもっている。それは創業者精神であり、その企業ミッションを守り大切に受け継いでこそ、企業の繁栄がある。永続的な成長がある。

不二家、パロマなどの同族経営がいけないというのではないだろう。立派な業績をあげる企業も多いし、むしろ株式市況での安定感は高い。

最近の不祥事は創業精神が薄らぎ、職業人としてのタガが外れた結果である。

「うちは小さいし大丈夫」ではなく『初心忘るべからず』で自分の会社のミッションは何か、原点に返り、見直すことが大事だ。

楽になろう、楽になろうと一番を狙い、基本である顧客の目線、社会の支持を忘れてしまった結果が不祥事になっている。社会の支持を得ることは社会の信頼を守ること、社会に安心を与えることで、説得力は言葉ではなく行動によって獲得するものである。それが経営者の使命であろう。

小さくても、ためになる企業がもっともっと多く国内に創業されていくことが期待され、豊かな感性と強い良心を持った人づくりが望まれている理由がよくわかる。(藁)