静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2007 May No.642 “光触媒”技術を活かし 食の安心・安全を提供エコロピア協同組合
“光触媒”に着目し、組合設立われわれの周囲には、様々な環境汚染物資や有害物質が存在する。自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)、「新建材」に接着剤や塗料として使用され、シックハウス症候群の原因のひとつに挙げられるホルムアルデヒドなどは、広く知られている。 これら有害物質を分解し、環境問題の解決に役立つ基礎技術として、脚光を浴びるのが光触媒(二酸化チタン)だ。 光触媒は、大気浄化や脱臭、浄水、抗菌など有害物質を酸化分解する機能と表面に付着した油分を分解し、汚れを防ぐ防汚機能をもつ。このため、その汎用性は極めて高く、道路の防音壁やガードレール、建物の外壁から、空気清浄機、冷蔵庫、窓ガラス、カーテン、トイレ、介護用品に至るまで、光触媒技術を用いない産業はない、といわれるほど、普及している。 この光触媒を「食」に活かす試みに着目したのが、土壌改良剤や植物活性液、有機野菜などの販売業者4社で設立された当組合である。 組合員が扱う光触媒商品は、“エコロピアクリーンコート”と名づけられる「土壌改良剤」をはじめ、光合成の活性化や病害虫忌避効果をもつ「葉面散布剤」、糖度の向上など作物の高品質化に寄与する「植物活性液」、ミネラル強化、窒素過多解消を目的とする「土壌用液肥」と幅広い。 土壌改良剤と植物活性液は、環境保全型農業を実践する農業者に対し、都道府県知事が認定する“エコファーマー”用の資材として宮城県の認定を受けた。 新たな農法の普及を目指す組合が設立された平成14年は、BSEの発生や食品の偽装表示、違法添加物など、食をめぐる問題が次々と発生し、その“安全・安心神話”が大きく揺らぎはじめた時期だ。とくに無登録農薬を使用し栽培した農作物の販売や輸入野菜の残留農薬問題は、消費者に大きな不安を与えた。 「食の安全と生活者の安心の確保は、食に携わる全ての者の義務です。光触媒による光エネルギー農法を普及していくことで、無農薬・無化学肥料・無除草剤など有機農法を目指す生産者と消費者の求める安心安全を結びつけることができる、と確信しました」と橋本壽人理事長は、自信をのぞかせる。 法人化を果たし、これから本格的に事業を展開していこうとしていた矢先、光触媒商品の供給メーカーが倒産した。 「光触媒商品の共同購入によるコストダウンや仕入先との代金決済条件の改善を図ることが設立の大きな目的。主力商品の供給が途絶えることは、死活問題となる。幸い理事長がその製法や販売などの権利を引き継ぐことができ、供給が滞ることはありませんでした」と上田九重郎副理事長は、安堵の表情をみせる。 「われわれは、商品の販売だけではなく、生産者を対象にした光エネルギー農法の研修会を毎月開催するなど、商品の効果的な使用法や農法の普及に力を入れています。この農法は、土づくりを大切にし、自然本来の力を最大限に活用するもので、環境さえ整えれば、無理なく作物は育つのです」と副理事長は、自負する。 組合では、生産者から寄せられる栽培方法や収穫情報を「エコロピアニュース」としてまとめ、年2回発行。組合員を通じ生産者に配布し、情報の共有を進める。 さらなるブランド力の向上を設立して5年。組合員には、農産物の卸・小売業者も加わり、その数は10社に増えた。光エネルギー農法により収穫された農産物を組合員が購入し、組合のロゴマーク(エコロピアマーク)を貼付、販売する、という仕組みも軌道に乗りつつある。 「有機農法で作られた農産物は、形や大きさが不揃いで、既存の流通ルートには乗りにくいため、大手スーパーや農協が手を出しにくい分野。だから、われわれが入り込む余地があるのです。さらに普及させるため、組合では、運送業者とも提携し、独自の流通チャネルづくりを目指しています」と理事長は新たな展開に意欲的だ。 理事長は続ける。「エコロピアマークが貼ってある商品なら間違いない、といったブランド力をつけたい。安心・安全を当たり前に提供していきたいですね」。
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