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 指導員の現場から
 新施策「新連携」
 中央会を通じ上手な活用を 




新連携は融合化を反省した施策か?

 いわゆる“ゆるやかな連携”が言われて以降、ここ十年前後の商工施策は、経営革新や創業への支援が主体となった。強い企業、新しい事業に挑戦する企業への支援が強化され、「護送船団方式」の転換が図られている。
 視点を変えてこれを経営者側から見ると、経営は日々の積重ねである。官庁が施策を変更しても、その翌日からすぐに経営が変わるわけではない。この意味で行政施策には当然、連続性が求められる。逆に施策に不備がある場合には、敏速な変更が求められる。
 本年四月から「中小企業新事業活動促進法」に基づく施策や支援が始動した。私はこの施策の中核をなす新連携を、かつての融合化法(後の中小創造法)による異分野連携施策との比較で捉えている。
 本県では、バブル前の八十年代後半以降、およそ二十年間にわたり“融合化施策”を利用するための“融合化組合”が五十以上設立された。いずれも最先端技術や商品開発のため、四社以上の経営者が集まり「知識の融合」を行った。しかし融合化施策には決定的な不備があった。それは何か?
 融合化組合の製品や商品は、一部の成功事例を除き、多くの実績を残せなかった。なぜよい製品が開発され、よい商品が試作されても、実績に結びつく例が少なかったのか?
 原因を一括りにすると、開発や試作後の“マーケティング”の視点が欠けていたためではないだろうか。多くの融合化組合で開発と研究が先行し、本来なら最終目標であるべき販売先や販売手法を考慮することなく事業が進められるケースが多かった。


新連携と中央会

 それでは今回の新連携で、マーケティングをフォローする施策は何か?当然気になるところだ。たまたま施策立案者側の説明を聞く機会があり、確認した。
 新連携でのマーケティング施策の柱は「各種展示会を実施し、ビジネスチャンスをより多く提供する事」との説明を受けた。
 もちろん展示会に積極的に出展し、そこで新たな連携先を探す努力がパートナーを見つける第一歩になる。またすでに連携して製品や商品を試作した経営者やグループであれば、展示会が大きな取引先開拓のチャンスになるだろう。
 何より、伸びる経営者の多くは等しくマーケティングの重要性を自覚し、多くの知識とノウハウを身につけ、それを実践している。
 私は新連携について当初「組合設立に結びつかず、中央会の業務と関連性がない」と考えていた。だが中央会には融合化施策で得た、活かすべきノウハウがある。
 おりしも商法や会社法の改正で協同組合組織に極めて近い新たな事業体LLP(有限責任事業組合)がこの夏から始動している。
 賢明な会員組合傘下の経営者の皆様なら、もうご理解いただけたのではなかろうか。今こそ中央会を通じて最新施策の“新連携”を上手に利用するチャンスが到来している時だということを!
(平川)



中小企業静岡(2005年10月号No.623)