特 集 
 「くみあい百景」 
 編集室便り 



くみあい百景




▲ ISO14001共同取得の成果について熱く語る
 小笠原理事長(右)と山崎副理事長(左)

社長自ら毎週、環境勉強会

 四月から九月までの毎週月曜日、社長自らが組合へ足を運び、二時間の環境勉強会を開催。環境方針の制定、管理体制の確立、共通マニュアルの作成等を皮切りに、本格的な認証取得作業に入った。
 九社は製造関係六社、運輸関係三社で異業種。各社が自身に係る環境法令、条例を抽出。それらを統括して共通マニュアルを作成。さらに個別の環境マネジメントシステムを作成する。
 「一社だったら途中で止めていたかもしれない。群審査だから落ちこぼれは許されない。皆必死だったよ。勉強会を終え、自社へ戻って環境負荷を洗い出し、法に適用するようにと整理をするが、これが簡単でない」と小笠原理事長。
 認証取得に中心的役割を果たした山崎副理事長は「ISOの取得になるべくお金をかけないようにと取り組んでみたが、各社が先延ばしにしてきた設備改善(騒音や床に油が流れて汚い、危険等)を先にしなければ、審査を受けるスタートに立てなかった。取得費以上にお金がかかったよ」と言う。

EMSはトップダウン

 環境マネジメントシステムは典型的なトップダウン方式。社長から強い支持が下される。
 要求される様々な(数・量の)データを分析し、三年間分のマネジメントプログラムを一年毎、作成するなど多岐にわたる項目と文章は大変な量になる。
 問題はマニュアルをどう作るか、全従業員にどのようにして理解してもらうか、意識をどう向上させるか…という点。従業員の多くは日常業務の上に加わる余計な事という意識が強い。
 山崎副理事長は「従業員教育を始め、経営者がやろうという方針を見せないと絵に書いた餅になってしまう」と言う。


認証取得で格付けアップ

 審査は一.初動審査((1)書類審査 (2)現地審査…*環境マネジメントシステムが三ヶ月以上運用*経営層の見直しが一度は実施*内部監査が有効に実施) 二.本審査 三.判定の手順で厳格な基準にそって行われる。 
 認証を取得できた要因として  小笠原理事長は「(1)あせらず一年がかりの長いタイムスケジュールを希望したこと(実質十四ヵ月)。(2)東芝機械環境センターという親会社に関連した経験豊富なコンサルタントに恵まれたこと。(3)そして何よりも集団で取り組んだこと」をあげる。
 認証取得で親会社での格付けは最高級のSランクにアップ。共同認証に要した費用はコンサル料を含めておよそ六百万円。一社当り平均六○万円強と格安でそのメリットは大きい。

新たに十一社が取得を希望

 十五年度に取り組んだ九社をAグループとし、引き続き十六年九月からBグループ十一社が取得に向けて活動を開始した。山崎副理事長は「環境指針を取り入れた経営の確立、企業イメージの向上、取引先からのランクアップと「共通テーマ」でプラスになることを組合事業で取り上げることに意義がある。
 多くの組合でいま、事業として何をやるべきかで悩んでいることと思う。今回の我々の行動が参考になれば幸い」と言う。
 認証の登録有効期間は三年間。システムの運用を確認するため一年毎に審査(サーベイランス)が実施される。小笠原理事長は 「後に続くBグループに良い刺激を与えることができた。
 Aグループは築き上げたシステムを維持し、継続的に改善していくことが、九社揃って日常業務の中で普通に行われている状態になっていなければならない。そのためにも各社の情報交換・結束が大事。」と言う。
 昭和三十七年の組合設立以来、金融、共同購入、労働保険事務組合等々、常に時代を先取りした組合事業を展開、先進組合として確固たる地位を築いてきた。
 そんな歴史ある組合が、二十一世紀も「魁」の役割を果たす。



中小企業静岡(2004年11月号No.612)