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特集 新・組合会計基準のポイント



●執筆者紹介
 塚越正司(つかこし まさし)氏
昭和24年
 埼玉県生まれ
昭和46年
 埼玉県中小企業団体中央会 入会
 以来、退職までの約20年間、中小企業の経理
 税務・金融等をサポートする業務に従事
平成5年
 税理士開業
 ・中小企業等協同組合会計基準作成委員
 ・全国中小企業団体中央会 委嘱専門相談員 他




新組合会計基準の特色

 改訂した組合会計基準においては、今後、組合が新たな会計制度へ移行していく際の指針とするため個別会計基準という形で時価会計、キャッシュフロー計算書、事業税の表示と各種引当金の取扱い、ソフトウェア会計基準、税効果会計、連結決算及び持分会計を定めました。
 これらは、持分会計を除き、現時点においてはその適用が強制されるものではありません。しかし、組合の財務内容を組合員をはじめとした利害関係者に正しく情報公開しようという考え方に基づいたものでまさに時代の要請とも言えるべきものです。
 既に金融機関では企業の格付けや融資の際の判断材料として新会計基準による決算書を要求してきています。したがって、組合においてもこうした考え方や内容を取り入れた会計処理と決算書の作成に努力すべきなのです。本稿では、これらの各基準のうち組合にとって重要と思われるものについて、その背景や考え方を紹介し解説していきたいと思いますが、詳細な内容や具体的な処理方法等については別途、「中小企業等協同組合会計基準」をご覧いただければと存じます。



時価会計の導入と 持分会計の考え方

時価会計導入の背景

 日本では取得原価主義によって資産や負債を評価するのが原則となっています。この考え方によると、商品も株も土地もそれらを売却しない限り、買った時の値段(すなわち取得原価)が決算書に計上されることになります。
 右肩上がりの高度成長の時代では、インフレ経済のもと、これらは「含み益」という形で企業のバッファーとして機能し、活用されたのですが、バブル崩壊後の今日のデフレ経済のもとでは、逆に「含み損」という形で企業の決算書の信用を損ねているのです。「含み損」は企業の存亡につながる重大な情報であるにもかかわらず、取得原価主義の下では「含み損」が隠されてしまうという欠陥があり、大きな批判が生じているのです。
 こうしたことから、今回、債権や有価証券などの金融商品については、決算期 末における時価をもって決算書へ計上することとする、いわゆる時価会計が取り入れられました。
 先般、日本の大手銀行の中間決算が軒並み大巾な赤字となり話題となりましたが、その原因の一つは持ち合い株式について時価会計が取り入れられたからと見られています。このように時価会計を行うと含み損がハキ出され、企業の実態がより明確に見えてきます。(表3参照)


中小企業静岡(2002年 2月号 No.579)