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▲業界の夢を熱く語る加納副理事長

夢を形に


 機器開発の基本は、「消費地の緑茶専門店を活性化させるための、個性的な商品作り」「従来型に捕われない、新しいコンセプトの機械システム」「機械メーカーだけの発想でないユーザーの声を反映した機械作り」。二一世紀の茶業界を夢のあるものに、夢を創る機械を作るとの気持ちを込めて進められた。
 特に、組合で開発した茶専門店用遠赤乾燥火入れ機は、組合員である製茶機械メーカー・製茶問屋が、消費者との直接的な接点を求め、考えたもの。「一九七〇年代以降の大量消費時代に生産性の向上、販売量のアップだけを求め、大切なものを忘れてきた。この反省の中から生まれたもの。さらに、量販店の進出に対して、高級茶を小ロットで販売するお茶専門店の差別化を模索する中で開発した」と開発のきっかけを加納副理事長が語る。



▲茶専門店用遠赤乾燥火入れ機

プロの技を消費者に

 消費者と直接的な接点を持つ小売店が、消費者の好みに応じてその場で火入れを行う。販売直前に加熱することで緑茶本来の香りを強めることが出来るほか、小売店独自の香り付けができる。
 機械の大きさは、高さ五一センチ、幅三四センチ、奥行き三七センチと小型。開発にあたって、製茶業者など火入れ職人のプロのノウハウを盛り込み、スイッチ操作などを経験の浅い人でも扱えるようにした。
 かつては、お茶にはその土地特有の風味があった。しかし、最近では、スーパーなどにお客を取られ、お茶小売専門店の”らしさ”がなく、最大公約数的な味になっている。お客さんの相談にのってアドバイスできるお店が少ない。それぞれのお客さんの味覚に合ったものを売る。これが差別化の第一歩。産地で、どんなにいいお茶を作っても、どこかで標準的なものにしてしまっている。

お茶のアンテナ組合

 いくつかの機械を開発して、これからは、どう成果を広めるかが課題。
「それぞれの組合員の営業に対するスタンスの違いもあり、自社で処理する方がはるかに迅速で簡単に思えることがある。そんな時は、なぜ組合を作ったか。初心に戻り、単独より組織で活動することのメリットを再評価していきたい」厳しい状況を協同の力で乗り越え、業界の未来に夢を託し、夢の実現のため、活動していきたいと加納副理事長は語る。
 組合の役割は、新しい機械を作り売ることだけではない。機械の販売を通して、消費者・小売店のニーズを把握する。そしてさらに、良いものを作る。組合活動によって、一社では、集めにくい情報の収集ができ、それぞれの組織の視野を広げる。


中小企業静岡(2001年 3月号 No.568)