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ユニクロ現象に学ぶ

 新しい世紀を迎えたが、長引く景気低迷のなかで、明るいニュースはほとんどない。
そうしたなかで“ユニクロ現象”とまで騒がれ、国民着になった感のあるユニクロ急成長の話題が目立つ。
 これに対して「週間朝日」は、その正月号で、多分にマスコミ的に、斜にかまえた視点から「ユニクロ神話は、崩壊まであと一〇〇日」とセンセーショナルに取り上げている。
しかし、ユニクロに未だ衰えは見えず、むしろ威勢がいい。
 また、ダイエーやヤオハンの例を引いて、大量仕入・大量販売・安売り競争は、やがて必ず破局に行き着くしかない―と評する専門家もある。
 我々は、このユニクロ現象から何を学ぶべきか。
 第一は、これだけ厳しい経済戦争の中で、既存の業界に新規参入して、社会現象まで引き起こすほどの実績を挙げたユニクロを、何人も否定できない。
つまり、経営者たるもの工夫と努力があれば、たとえブランドはなく、お金がなくても立派に商戦を勝ち抜いていけることを、名もなかった地方出の中小企業が実証したことだ。
 第二は、企業というものは、煎じ詰めれば経営者自身の資質、つまり、人間としての器以上には発展しないことではないか。
 ダイエーもヤオハンも、出発は小企業であったものが、一代にしてあれだけ巨大企業に発展していったが、結局は、二代目に引き継ぐことさえできぬまま挫折してしまった。
そこにはオーナーという社内における絶対的権力者が本来備えるべきものが、何か欠けていたのではないかと思う。
 ところが、同じ小企業から出たソニーやホンダや松下の堅実な成長と実績は誠に立派である。
これら企業に共通していえるのは、創業者の哲学が世代を超え連綿とひきつがれ、その経営に活きていることであろう。
 幸い、私ども中小企業は、小なるがゆえに社長の経営指針が企業のすみずみまで徹底し易い。
大企業はできにくい“労使一体の経営”の利点を、いまこそ最大限に活用したいものだ。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2001年 3月号 No.568)