ネットサーフィング
富士の叫び
フラッシュ
中小企業団体全国大会
特集
INFORMATION
ネットワーク
展示会情報
くみあい百景
ワンポイント
読者プラザ
編集室だより



くみあい百景





▲ポット栽培(左)と
 露地(右)との比較

木に優しい栽培法


 組合員の植木生産の特色はポット・コンテナによる栽培法。従来、植木は、直接土地に植え込み、育成・出荷されていた。組合員は、ポリのポット、コンクリートや木製のコンテナに苗木を植え込み、育成する。
 組合員は、従来、松、マキなどを主に手がけていたが、需要の変化をキャッチして「将来は生け垣などに使う緑化樹の需要が高まる」と新しい栽培方法に転換して、カシ類、ヤマモモなどの生産を始めた。
 ポット・コンテナ栽培のメリットは、自然の根に近い状態で植え付けができ、活着率が高く、栽培後の成長が早いこと。さらに、植え付けが容易で一本あたりの単価が安く、同品質の樹種の大量調達を可能にする。
 直接土地に植えた苗木は、出荷時に、どうしても根を痛め、木に大きなダメージを与える。ポット栽培では、細かな根を付けたまま、植え付けができる。
 メリットが多いポット・コンテナ栽培にも、課題がある。資材の先行投資や日々の水やりなど管理面の充実が求められる。自然にまかせて育成してきた植木生産に、経営者としての感覚が強く求められてくる。

組合が活性化の起爆剤


▲組合員の活躍が期待
されるイベント


 組合員は任意組織の時代から、ポット・コンテナ栽培の優位性に着目して、活動を進めてきた。しかし、販路拡大のPR活動、共同購入の経理処理、卸業者との取引面で限界を感じ、法人化に踏み切った。
 思考錯誤の中で、関係機関のアドバイスを受け、研究を続け、畑植えより出荷サイクルが早い特性を生かして、生産を軌道に乗せている。
 緑化樹は庭が狭い最近の家庭のほか、公園などの環境緑化でも需要が高い。特に官庁の注文は、経費節減で木が小型化しており、鉢を小さくして、品質管理も楽になるなど、ポット栽培には追い風。
「景気が低迷する中で、浜北の植木業界も元気を失いかけている。新しい手法への取り組み、組合という組織の結成が、起爆剤になれば」と高村理事長は話す。

「消費者」と「緑」の架け橋に

 従来、植木の取引きは、造園業者との相対取引がほとんどで、消費者との接点は少ない。高村理事長は「組合を設立して、ホームセンターと取引きをはじめて、ようやく消費者の顔が見えてきた。これからは、小売りのウェイトが高くなる。消費者のニーズを的確に掴み、需要を掘り起こして行きたい」と語る。
 組合は、二〇〇一年に吉田町で開催される緑化祭「しずおか緑・花・祭」の主催団体から、植木、花の栽培を委託され、準備に取組んでいる。
 花の栽培は組合員にとっても新しい分野。積極的に取組んで自然と共生する緑、花の総合コーディネーターを目指す。


中小企業静岡(2000年 12月号 No.565)