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欲しい小零細企業からの視点

 政府は、先の“中小企業国会”において、中小企業基本法を三十数年振りに抜本的に改正をしたのをはじめ、数多くの法律を成立させ、中小企業への支援を強化した。
 しかし、その内実をよく吟味してみると、小渕総理大臣が明言しているように「組合から個」へと、施策の重点を大幅に転換した。そのために多くの中小企業にとって、予期せざる事態を招きかねない状況が露呈しつつあると思う。
 端的に言えば、組合などの組織に頼らない、自立企業、つまりベンチャー企業には、企業起こしから資金集めの金融制度、さらには組合関係の法改正によって、組合から会社へ簡単に移行できるなど、組織制度面でも実に至れり尽せりの施策まで用意した。
 私は、全国中央会会長の立場からみても、これらベンチャー育成や中小企業の範囲拡大などに賛成するものである。
 しかし、それらのことによって、小企業や協同組合等が“割りを食う”こと、つまり“角をためて牛を殺す”の類になってしまうことを心配し、憂えるものである。
 これからの日本経済には、もちろん多くのベンチャーが輩出し、活躍することは必須の条件であることに間違いはない。
 だからといって、工務店や大工さん・飲食店やクリーニング屋さん・織物業や衣料品屋さん・自動車や電気や機械の三次や四次下請の家内工業的な労働集約の小零細企業…そうした企業は、施策上どうでもいいと言えないのは当然である。
 いま、リストラの名に隠れて首切りをしているのが、大企業や大銀行であることは、国民みんなが知っていることだ。逆に、今日の最大の問題と言っていい、雇用に貢献しているのが、ベンチャーではなく、地場の小零細企業であることを再確認したいものである。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2000年 2月号 No.555)