google

特集

総会に備える!-2-
決算から総会終了まで

総会の運営に工夫を

いうまでもなく総会は、組合の意思を決定する最高の意思決定機関であると同時に、組合員が一堂に会する重要な場である。したがってその運営には十分な配慮が必要だ。多くの組合ではすでに実行されていることと思うが、もう1度その運営のポイントをチェックしたい。

  • 総会当日は、関係諸帳簿、中協法等の法令集、定款、諸規程、電卓などを会場に持参する。
  • 受付では、出席者を受付名簿でチェックする。とくに代理人による出席の場合は、委任状の提出を求め、本人氏名印に注意するとともに、代理人の氏名が明記されているか、一人が定款で定められる代理人数を超えていないかの確認も怠らない。
  • 質問もなく「異議なし」「賛成」でスムーズに進む総会の進行が喜ばれることが多いが、活発な質疑や意見交換を通じて総会の内容を充実させたい。しかし、限られた時間である。効率的な運営にも十分留意し、開始時間の厳守や議事日程による議事進行、図表等を使用した分かりやすい説明、横道に逸れたりしないような議長の適切な調整など工夫も欠かせない。

総会終了後の各種手続き

総会終了後も息つく暇なく、多くの手続が待っている。

―議事録の作成や行政庁への届出、登記申請、納税申告、さらに総会に欠席した組合員への決議事項の通知や剰余金処分の振替、脱退者への払い戻し、配当金の支払い ―。

いずれも欠かすことはできないが、まず手をつけなければならないのは、議事録の作成だ。議事録は、組合会議の討議状況の記録のほか、行政庁への届出や登記申請にも必要となる重要なもの。

とくに改正組合法施行により、主務省令(同法施行規則)も改正され、総会議事録及び理事会議事録については、この規則に基づき作成することとなった。

ここでそのポイントを様式例とあわせ確認してみたい。

総会議事録

総会議事録は、書面または電磁的記録をもって作成しなければならず、次の記載が必要となる(施行規則第113条)。

  • 総会が開催された日時及び場所
  • 総会の議事の経過の要領及びその結果
  • 総会に出席した役員等の氏名又は名称
  • 総会の議長の氏名
  • 議事録の作成に係る職務を行った理事の氏名
  • 総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要(詳細は総会議事録様式例参照)

これら施行規則に規定された記載事項に加え、これまで記載していた「招集年月日」、「組合員数及びその出席者数」、「議案別の議決の結果(可決、否決の別及び賛否の議決権数)」は、定款の規定に従い記載する。

なお、法改正により出席理事の署名(又は記名押印)は不要となったが、多くの組合定款では署名が義務付けられているため、定款を変更しない限り署名が必要となる

理事会議事録

代表理事など役付理事選任のために開催される理事会。その議事録の記載事項は、施行規則第40条に規定されており、原則として、以下の記載が必要だ。

  • 理事会が開催された日時及び場所
  • 理事会の議事の経過の要領及びその結果
  • 決議を要する事項について特別の利害関係を有する理事があるときは当該理事の氏名
  • 理事会に出席した理事又は監事の氏名
  • 理事会の議長の氏名
  • 理事会において述べられる意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要(詳細は理事会議事録様式例参照)

総会議事録同様、従来記載していた「招集年月日」、「理事数及びその出席者数」、「議案別の議決の結果(可決、否決の別及び賛否の議決権数並びに賛成した理事の氏名及び反対した理事の氏名)」などは、定款の規定に従い記載する。

改正法により、書面で作成した議事録に出席理事が、署名するか、記名押印するかは、任意に選択することができることとなった。

しかし、登記に関しては商業登記法第一48条が準用され、同条により商業登記規則が適用されており、従来どおり、代表理事の登記等の際には、同規則に基づき記名押印が求められている。このため、実務上、署名ではなく、記名押印が望ましい

また、監事が理事会に出席した場合は必ず署名(又は記名押印)しなければならないので注意が必要だ。

なお、理事会の決議の目的である事項を事前に提案し、理事の全員が書面または電磁的記録により、同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の理事会決議があったものとみなす旨を定款で定めることで、現実に理事会を開催することなく、書面のみあるいは、電磁的記録のみにより理事会決議を行うことができるようになった。

さらに、議事録が電磁的記録により作成されている場合は、署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない(施行規則第41条では「電子署名」とされている)。

届出・認可・登記事項を確認

総会終了後には、行政庁に対する様々な書類の提出が必要だ。特に静岡・富士・沼津・浜松の4市に加え、この4月から三島・富士宮・島田・磐田・焼津・掛川・藤枝の7市へ組合の所管事務が、県から移譲される

該当する組合は、届出や認可申請書の提出先が変更となることにご注意いただきたい。

以下、(1)届出 (2)認可申請 (3)登記の3項目について説明する。

(1)届出

届出は、総会終了後に必ず必要な事項である。毎年欠かせないのが「決算関係書類」。

「役員変更届」は、変更のあった年のみ必要で、定款で定められている任期ごとに変更となる。全員留任した場合も届出は必要なので注意されたい。また、理事長が変更した時に多く見られる住所変更の際も、「事務所移転届」を提出する。

(2)定款変更は認可申請が必要

総会終了後、行政庁に対して行う認可申請手続きといえば「定款変更」である。

注意すべき点は、定款変更は行政庁の認可を受けた時点で初めてその効力が発生することである。つまり、総会の決議時点では旧定款が生きており、例えば認可日以前に新事業を実施した場合などは定款違反となるので注意が必要だ。

定款変更の文言が定款参考例を大きく逸脱する場合や行おうとする事業が違法だったりする場合などは、当然のことながら定款変更は認可されない。こうした場合、総会では定款変更が可決されたのに行政庁で認可されず、事実上総会決議が無効となる可能性も出てくる。

また、組合によっては、役員の任期や総会の招集手続き、総会議事録の記載など、法改正に伴い変更が必要となる箇所もある。

したがって、定款変更についてはその可能性やスケジュール、事前・事後の手続きなどについてあらかじめ中央会にご相談いただくことをお勧めする。

(3)登記

組合実務に関する主な登記事項は「代表理事の変更登記」である。多くの組合では役員任期を2年としているので、その都度、変更登記が必要である。理事会で代表理事が留任した場合でも、必ず変更登記を済ませなければならない。これを何期も怠った結果、過料に処せられた組合もあるので、特に注意されたい。

また、事務所移転により、例えば所在地が静岡市から焼津市に変わった場合も、定款変更後に移転登記が必要だ。

そのほか、組合員の加入・脱退に伴う出資総口数や出資総額の変更なども登記事項となる。ただし、出資金の変更は事業年度終了後4週間以内とされているので、例えば3月決算で5月総会を行う組合の場合、総会前に変更登記を済ませておくことが必要となる。