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特集

総会に備える!-2-
決算から総会終了まで

総会の成立と議決

総会は、適法な招集手続を経た上で、出席した組合員が定足数を満たしてはじめて成立する。これらの要件は、総会の議決が有効になされるための前提条件である。

議決権は、組合員が総会に出席して決議に加わる権利で、組合員は出資口数の多寡や事業規模の大小に関係なく、選挙権とともに平等に1個が与えられる(協業組合、商工組合連合会には例外あり)。

総会の定足数は、特別議決を要する場合には、総組合員の2分の1以上の出席が法に規定されているが、その他の議決事項については、とくに定めがない。しかし、通常、組合では定款でその他の議決事項についても総組合員の2分の1の出席を定めているので、それに従って定足数に達しているかをチェックする必要がある。

なお、協業組合では、全ての議決事項で、議決権の総数の過半数にあたる議決権を有する組合員の出席という定足数が法に定められている。

書面または代理人による議決権行使

総会の議決権については、書面または代理人をもって行使することができる。これらの方法によって議決権を行使する者も出席者数に含まれるので注意が必要だ。

書面または代理人による議決権行使にあたっては、次の条件がある。

  1. 書面または代理人によって権利が行使できるのは、あらかじめ総会の招集通知によって組合員に通知のあった事項に限る。
  2. 代理人は、組合員の親族もしくは使用人または他の組合員でなければなることができない(法人組合員では「代表権を有しない取締役」も代理人に含まれるとされる)。
  3. 代理人は、5人以上の組合員を代理することはできない(最大4人まで。組合定款を確認)。
  4. 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない(この場合、電磁的方法によって議決権を行うことが定款で定められているときは、その書面の提出に代えて代理権を電磁的方法により証明することができる)。

なお、代理議決については、特定の者を代理人に依頼することなく、白紙委任状を組合に送付することが慣行上多い。

白紙委任状は、組合員が総会に関して全般の責任をもつ理事長に対し、代理人の選定を一任したもので、総会までに白紙の箇所(代理権を行使する者の氏名)が記されてはじめて委任状としての効力を発する

また 3.で述べたように代理人の代理できる数は定款で定められており、これを超える委任状は無効となり、出席者数にも算入されないので注意が必要だ。

議長

議長は、組合定款では、総会に出席した組合員(法人組合員の場合は法人の代表者。「代表権を有しない取締役」も含まれるとされる)の中から選任することになっている。

議長は、組合員として総会の議決に加わることはできず、さらには、自分の代理人による議決権の行使や他の組合員の代理人となることはできない。しかし、普通議決権について可否同数となった場合には、議長の決することとされており、可否の決定権が与えられている。

一方、選挙権は、法は議決権と選挙権を区別しているので選挙権は有する。

なお、協業組合では、議長を含む出席者の議決権数で決し、可否同数の場合は、議長に決定権はなく、否決となる。

法定と任意の議決事項

総会の議決事項には、法の規定により総会の議決を必要とする法定議決事項と定款の規定により総会の議決事項として定められた任意議決事項に大別される。

法定議決事項には法第51条に定められる(1)定款の変更 (2)規約の設定、変更又は廃止 (3)毎事業年度の収支予算及び事業計画の設定又は変更 (4)経費の賦課及び徴収の方法のほか、組合員の除名や役員選任、役員のリコール、組合の合併や解散などがある。これらは必ず総会の決議が必要で、理事会など他の機関での決議はできない。

注意したいのが (4)経費の賦課、徴収方法。この賦課金については、徴収基準や徴収方法を毎年決めなければならない。仮に昨年同様といえども、具体的な説明を付すことが必要だ。

一方、任意事項は、借入金額の最高限度や取引金融機関、加入金、加入手数料の額など定款で総会の議決を必要とするものを定めた事項である。

特別議決は3分の2以上の同意が必要

先に述べたように、総会の議事は出席者の議決権の過半数で決し、出席者には書面や代理人を含む。しかし、組合の組織の基本に影響のある定款変更や解散・合併、組合員の除名など重要な議決事項には、とくにその議決の慎重を期すため、総組合員の半数以上が出席し、その3分の2以上の多数によらなければならない

これら、議決事項を表(2)にまとめた。定款とあわせチェックして頂きたい。

<表(2) 総会での主な議決事項(事業協同組合の場合)>(拡大図を見る)

緊急動議は定款に従う

議案は原則として招集通知書にあらかじめ記載された事項に限られるが、多くの組合の定款では「緊急議案を採用することができる」旨の規定がある。

一般的な組合が準拠する定款参考例には、「出席した組合員の3分の2以上の同意を得たときに限り、あらかじめ通知のあった事項以外の事項について議案とすることができる」と緊急議案の記載がある。

この場合、緊急議案を提案し、その議決に加わることができるのは出席した組合員に限られ、書面や代理人による議決権はないので注意したい。

また、除名やリコールなど事前に一定の手続きを要する事項は、緊急議案による決議は許されない

なお、定款変更や解散など特別議決を要する事項や役員選挙など重要な案件は、緊急議案には馴染まず、これを強行すれば組合運営に大きな支障をきたすことになりかねないので、緊急議案による議決は避けるべきである。

総会の延期と続行

総会の議事が、その会日中に終了しない場合には、総会で延期または続行の議決をすることで、完結しなかった総会を後日に継続できる。

両者とも一定の他の期日に総会を開催する旨を議決することを指すが、延期は、その会日に予定された議事日程による議事に入る前に行われるのに対し、続行は審議に入った後に行われる点で異なる。

なお、延期、続行、いずれの場合も、改めて開催手続を必要とせず、議決された日時に再開することとなる。

決議の取消しと無効

前述のとおり、総会は一定の法的要件を備えて初めて有効に成立する。

例えば、総会招集の手続きや決議の方法、決議の内容などに法令・定款違反があった場合や特別な利害関係を持つ組合員が議決権を行使したことにより、著しく不当な議決が行われた場合などは、決議取消しの訴えの原因となる。この訴え(原告は組合員または理事、被告は組合)は、決議の日から3ヵ月以内に行わなければならない。

なお、判決の結果、決議が取り消されるとその決議は、はじめから無効とみなされる。

一方、決議無効の訴えは、決議の具体的内容そのものが法令に違反する場合に提起される。例えば、違法な事業の実施決議や、違法な剰余金処分をした場合などである。この場合、原告は組合員や理事に限定されず、また、いつでも訴えの提起ができる点で決議取消しの場合と異なる。