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イタリアの車事情

 初めて沖縄を訪れた人は、いまもって『基地のなかに人間の住む街がある』事実に直面して驚く。同じようにイタリアはローマを筆頭にして、どの都市を訪ねても『遺跡や歴史的建造物の間に街がある』ことを知る。
 したがって日本のように街(ビル内)に立体駐車場もなければ、個人宅にも土地がないために当然駐車場はない。その結果、大半の車は路上、しかも何百年前の石造りの街路の片側や、大通りの街路樹の下にひしめきあって駐車せざるを得ない。
 その多くはイタリア産の小型車フィアットで、私の目見当では三分の二の車はヘコミや変形、つまり日本ならとても恥ずかしくて乗れない事故車ばかりであり、汚れとホコリがいっぱい積もっていた。
 車事情にウトイ私だが、この国には車検制度のないことを聞いてビックリ。帰国して知人に話したら『州によって異なるがアメリカにも車検制度はない』と教えられ二度ビックリ。そう言えば、沖縄で走っている米国籍車?の多くは、所々にサビが出て日本人から見ればポンコツ車であることに納得がいった。
 さて、そんなイタリアでも、この国で最貧といわれるシチリア島のタクシー(ハイヤー)待機所にはピカピカに手入れの行き届いたベンツが数十台も勢揃いしていたのは壮観で、さすがに観光立国のゆえであろう。
 ちなみに私がお上りさんよろしく映画“ローマの休日”巡りに借り上げた車は、シートが三層になっているベンツのリムジンで、五時間で十二ユーロ(一万四千円)ほど。五人乗れば一人三千円の勘定で、ヘップバーンがアイスクリームをほうばった、かのスペイン広場やコロシアムなどなど丁寧に案内してくれた。
 そうしたなかで日本車はどうか、ということだが、かなり注意していないと見つけることがむずかしいほどの数だが、さすが日本車にのる人の手入れは行き届いていた。そのなかで日産マーチの燃費がいいということで、人気が出ているという日本人ガイドの話だった。
 さらに二輪車になると、わが静岡県発祥のホンダ、スズキ、ヤマハが大手をふって走っているのがなんとも頼もしい限りであった。
 また、日本では苦戦のETC(ノンストップ自動料金収集システム)もイタリアではテレパスと呼んでいるが、日本よりも格段に普及しているのが注目された。(以下、次号へ)


中小企業静岡(2002年 9月号 No.586)