住基ネットが稼働
こうしたIT化をめぐる近年の動きは、いくつかの雑誌でも、時に衝撃的に取り上げられているが、業種によっては、特に年配者の中には何かしら距離のある問題として感じていた方が多かったのも、また事実だ。
こうした中にあって八月五日、全国民に十一ケタの番号をつけ、氏名、住所などの情報を市区町村から国の行政機関などにオンラインで提供する住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が稼働した。
住基ネットは国の行政機関が市区町村から住民票コード、氏名、生年月日、性別、住所、これらの変更履歴の計六情報の提供を受け本人確認に使うことで、行政手続きでの住民票の写しの添付を不要にする。一方で共通番号を使うことで行政機関同士で個人情報を集める「名寄せ」が容易になることや個人情報の一元管理、漏洩の危険性、民間などになしくずし的に番号利用が広がることへの懸念などを指摘。大きな議論を巻き起こしている。稼働時には横浜、国分寺など一部の市区町村で事実上不参加を表明したのも記憶に新しい。
政府や自治体の取組みも本格化
ネット社会への動きはこれだけではない。商取引や公的文書の交付などの社会システムを電子化するための法的、技術的な基盤が整ってきている。従来の紙に加えインターネットでも重要な情報をやり取りできるようにする「書面一括法」や「電子署名法」などが施行。電子入札も動き出した。
政府が電子政府構想を打ち出したのは一九九九年十二月に閣議決定したミレニアム・プロジェクト。規制緩和を推進するとともに行政も効率化しないと、情報技術を駆使し国際競争に向けた経営改革を進める企業の足を引っ張りかねない、との危機感があったためとされる。
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