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変貌する中国を眼前にして

 先ごろ、久方ぶりに中国を訪れる機会をえた。
私は、静岡県日中友好協議会の理事長という役目がら、すでに数十回訪中を経験している。
そのたびに中国の変化に接しているわけであるが、今回は特別に強烈な印象を受けた。
 それは従来、北京とか杭州など都市部の定められたコース中心であったものが、今回は民間企業との関連もあって、重慶から武漢まで四日間にわたり、やがてダムの湖底に沈む三峡下りの船旅も経験し、民間との交わりを通じて、より「生」に近い中国をみることができたからであろう。
 今回は、街のにぎやかなことから、道行く人々の目の色が精気に満ち、国全体が日本の高度成長の時代を思わせる、なんとも言えない旺盛さを強く感じた。
 その代表例に三峡ダムがある。
なにせ発電能力は八七五億キロワットで、これは日本全体の水力発電量に匹敵するというから、その規模は想像を超え、治水や物流拠点となる巨大事業である。
 郭小平路線に基づき、一党独裁で「何事も即実行」できるという政治体制のもとで、経済は欧米の利点と華僑独特の精神がうまく機能し、政経分離のメリットを最大限にあげながら特異な経済社会体制が固まりつつある。一言でいえば、恐るべき躍進ぶりである。
 ひるがえって、わが国の実情を省みるとき、政治家は言うに及ばず、倒産に追い込まれた大企業の経営者たちの、その後の動向には目を覆たくなるのは、私ばかりではあるまい。
 いまや日本は、アメリカは言うに及ばず、経済の立て直しを急ピッチで進めているアジア諸国にも、遅れをとっていると言わざるをえない。
 この訪中で痛感したことのひとつは、十三億人ともいわれる超大国を隣国にもつことをメリットに代えていける、政治経済体制の迅速な対応と確立である。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2000年 11月号 No.564)