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特集 SPECIAL EDITION



女性の視点はますます重要に

 こうした主人と二人三脚で経営にあたる奥さんの立場、または経営者本人として、女性の役割はますます高まっている。
 特に商店街では女性の果たす役割が大きく、多くの商店街で女性部が結成されている。当サミットにも参加した商店主夫人らでつくる三ケ日おかみさん会(会員五七名)のメンバーは、「商店主の妻は店番など、とかく主人の補佐的な存在になりがちだけど消費者の八割は財布のひもを握っている主婦。女性の視点にこそ、大型店に負けない、商店街活性化のヒントがあるはず」とその意義を語る。
 県内でもいくつかの商店街で女性部がエコバックの作成、ガレージ・ワゴンセール〜コンサートなどのイベントの開催まで手がけている。
 さらに、小売やサービスといった消費者向けのビジネスをはじめ、女性による新規創業が期待される分野も多い。少子化・高齢化などの社会環境の変化に対し、労働力の点だけでなく、新しい産業の経営者としても、社会の一翼を担う女性の活躍が大いに期待されている。
 特に生活者としての視点から、保育から高齢化対策や介護福祉など、今後の成長が見込まれる産業分野への女性の進出に期待が寄せられており、女性の起業意欲も高まっている。
 また、情報機器の発達によりSOHOといったビジネスの形態が出現するなど、情報技術(IT)の普及が女性の起業を後押ししている。



女性を中心とした企業組合もぞくぞく誕生

 組合形態のものでは、女性を中心とした企業組合の設立が、近年続いているのもその一端として捉えられよう。
 中川根町の主婦たち十九名が地元のヘチマ水を原料とした化粧品開発と販売を行っている(企)ニートリィは、既にお馴染み(平成八年設立)。平成十年に法人化されたぞうさん(企)は、障害者と健常者がともに手作りパンや米・卵など地元で仕入れた自然食品を菊川周辺地域の一五〇グループに届け、さらに顧客拡大に意欲を燃やしている(組合員十名)。
今年一月に沼津で誕生した(企)イルカは主婦六名によるクッキーやパンの製造販売ではあるが、将来的には知的障害を持つ子供たちの就業の場としての役割を担う。県外にも目を向けるとその業務の幅は一段と広くなる。
 福岡県粕屋郡志免町で活動する(企)オフィス・ツーワン(平成九年設立、組合員十六名)は、マンションの一室を借りて保育サービスを行っている。スタッフは三〇〜五〇代が中心で、半数が保母、看護婦、幼稚園教諭の経験者。乳幼児を時間単位で預かる方式で会員制をとっている。パート勤務やカルチャーセンターなどに通う母親らが利用しやすいように月間サービスや短時間スポット契約にも対応。訪問サービスにも応じている。
 女性の社会進出が進む一方、出産や子育てについて母親が援助を受ける機会や場はまだまだ少なく、育児と仕事の両立を断念せざるを得ないことがある。こうした女性たちのニーズが生まれていると同時に、そこに女性の活躍の場も生まれている。
 介護福祉では、家庭の主婦六名が介護入浴サービスを実施している福島県の在宅福祉会やわらぎ(企)をはじめ、今年四月の介護保険法の施行に伴い各地で多くの組合が設立されている。



中小企業静岡(2000年 10月号 No.563)