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ITも大切なのは人間対人間

 沖縄のサミットでも中心課題となったように、「IT」いわゆる情報技術の進展が、今世界をゆり動かしている。当然、われわれ中小企業も、この潮流に乗り遅れるわけにはいかない。
 ITなどというと中小企業にとって別世界のことのように思っている人もいるが、実は普段の経営のなかで、それぞれが工夫をし、努力し業績を挙げている企業は多い。
 静岡市内で婦人のエスニック(民族調)衣料中心の小売業を営む(株)トンボヤ(代表・Kさん)は、小規模ながら、ITを存分に活用している好事例といえる。
 このお店は、インドやインドネシアから、現地の衣料などを仕入れ、販売しているわけだが、以前には発注してから一カ月以上もかかって、しかもトラブル続きであったものが、十年ほど前から、ファックスを使うことによって飛躍的に利便性が向上したという。
 ところが今では、Eメールなので、ファックスとは段違いの効率である。色あいやデザインも、お互い瞬時に判断できるようになったという。今流行しているものが即座に入手できるし、また縫製にしてもステッチ(縫い方など)の巾や糸の色まで、細かな指定ができるため、商品の専門化や差別化が自在に出来ることになった。
 このように街の一商店も、情報技術を活用することによって、極めて効果的に直接貿易取引ができ、大きな成果を挙げている。
 しかし、私にはKさんが最後に言ったことが印象に残った。「人間対人間、フェース・ツウ・フェースで直接に顔を合わせ、お互い店や工場の生の実態を知ることが最も大切で、そのために毎年二回は相互交流を行っている」という。
 ITがいかに進歩しようとも、それを活かす「人間同士」のソフトがいかに大切か、ということを忘れてはならない―。と、思うのである。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2000年 10月号 No.563)