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共同駐車場経営の成功


 広小路商店街の中心事業は、共同駐車場経営である。もとより、市街地商店街は駐車スペースが圧倒的に不足している。広小路の駐車場建設は昭和五一年にさかのぼる。
 「苦労しました。はじめは赤字続き。当初から採算面で不安はあり、全員賛成というわけではありませんでした」と当時パーキング委員会会長、現在の副理事長の須田孝氏は当時を振り返る。期待していた高度化資金は、当時土地取得は認めておらず、建設工事だけが対象と厳しい。足らずまいは、三島信用金庫などにお願いし、何とか建設に漕ぎ着けたのが実状である。組合の「二〇年のあゆみ」という小冊子にも「疑心暗鬼のまま計画をすすめることになった」と記述している。
 当時としては珍しい二四時間営業。人件費軽減のために、これも当時では画期的な磁気テープによる入出車管理を導入した。
 「夜間の管理、機械の故障で採用することにためらいはあったが、他県の例などを参考に導入に踏み切った」(須田副理事長)という。
 あにはからんや、故障も続いた。須田副理事長の店は「シンコウパーク」(駐車場の名称)のすぐ前にある。
 「夜間に呼び出されて手伝ったりして大変でした」(同)と笑顔で語る。
 駐車台数四〇〇台、四階五層の駐車場も厳しい経営を続けながらも昭和五四年にはどうにか軌道に乗り、現在では、その収入だけで高額所得法人として新聞に載るまでになった。相応の出資配当をしているが「現在では、増資をしたいという組合員もいる」(同)と当時との違いをこれも笑顔で語る。




▲商店街には自動車での来街が多い。

ヤオハンを買収し第二駐車場建設

 冒頭紹介したとおり、広小路は景観の美しい街である。そのバックグランドを活かし、イベント事業も文化性の高いストリートギャラリーを展開している。年二回程度、テーマを設け街中が、あたかもギャラリーに変貌する。
 最近は、「日本の現代絵画展」のコンセプトでいろんな芸術家の絵画を所々の店のウインドウに並べた。街を歩く人はショッピングと絵画鑑賞ができるという具合である。とはいえ、これは大通り商店街全体の事業で実施はしている。
 昨年「VIA701」が建設された。広小路商店街に隣接する場所で、厳密には当商店街事業とはいえないが、組合も多額の出資をしている。二階立ビルには、ギャラリー、小コンサートホール、ミニシアター、洒落た雰囲気の飲食場など完備している。これもストリートギャラリーなど文化性の高い街の雰囲気を受け継いでいる。
 平成九年のヤオハンの倒産は広小路商店街にも大きな影響を与えた。ヤオハン店舗「ネクステージ」は広小路に隣接している。組合の対応は早い。消費者の利便を考えれば、地元の組合で併設する駐車場を買収する必要を感じてのことである。六階七層、一八〇台収容の駐車場はこうして広小路商店街で取得することになった。
 商店街の悩みは後継者問題である。
 「役員にも若手は少ない。課題は次の世代にいかにバトンタッチするか」(同)という。とはいえ、これまでハード面での整備はある程度できている。それを引き継ぐ次の世代も育てつつあるようだ。


中小企業静岡(1999年 9月号 No.550)