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中小企業に帰れ

 来年七月、「日米経営会議静岡大会」が開催される。私はこの大会の会長ということもあり、今その準備に追われている。
 本県での日米経営会議の開催は十年ぶり。当時のアメリカは大不況、日本は好況でアメリカが日本に学び、現在はそれが一変、日本がアメリカに学ばなければならない点が多くなってきた。
 よく日本はアメリカの後追いをしているといわれる。確かに十年前のアメリカの状況に現在の我国の経済環境が大変よく似かよっている。
 複合不況、財政不況、不動産不況と大恐慌以来の不況といわれ、どれをとってもアメリカがかつて経験した経済不安を若干形が違うにしても日本が再び経験している。
 アメリカ経済の起死回生策、それはゼロベースのリエンジニアリング(抜本改革)であり、合言葉は規制緩和や新産業の育成を軸とした「中小企業に帰れ」「中小企業魂に戻れ」であったと聞いている。事実、新規企業の活躍だけでなく、既存中小企業も企業内改革や新たな分野への挑戦を通して経済再生に大きな役割を果たしている。
 私は仲間意識に欠け、すべてが競争というアメリカ型の資本主義には若干疑問を持っている一人であり、中には我々にとって痛みを伴う部分があるものの、劇的に景気を回復させたその手法には見習うべきものも多い。
 我国も対症療法的な景気対策よりも根本的な構造的経済対策が今求められている。その中で、意思決定や企業行動の機動性・柔軟性に富む中小企業の重要性が再認識されており、その活躍の場が広がってくるに違いない。
 まさに「中小企業に帰れ」が最大のテーマとなってきた。
 マイナス成長が続き大企業万能神話が崩れつつある今こそ、中小企業は持ち前の気力を奮い立たせる時ではなかろうか。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(1999年 8月号 No.549)