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特集

動き出した「農商工連携」への取り組み
農商工等連携促進法 施行

今年、国では農林漁業者と商工業者等の連携により、新商品開発などに成功した先進事例を「農商工連携88選」としてまとめた。本県では、浜松市のうなぎ白焼き組合と食品加工業者の連携による、「未利用“うなぎ骨・頭部”を利用した新商品開発」(有効成分が多く含まれているが、そのほとんどが廃棄されているうなぎの骨、頭部からペットフードの開発に成功)、農業者、製造業者、大学等による産学連携による「高輝度LEDによる花芽類の花芽誘導装置の開発及び花芽の普及」のふたつの事例が選ばれた。

中でも後者の取組みは、平成17年度に「新連携」の認定を受けるなど注目を受けている。

農商工連携(「高輝度LEDによる花芽類の花芽誘導装置の開発及び花芽の普及」)の概要

連携体のメンバーと役割分担

  • やまと興業梶F中核団体(コア企業)(本社:浜松市、創業:昭和19年、従業員:310人、事業:二輪車用のコントロールケーブル製造、金属製パイプ部品製造、樹脂成形、金型、治工具の製作、光(LED)技術応用商品の開発、製造、販売)…LED光源体の設計・製作
  • 農業者…育成評価、花芽販売、市場開拓
  • 農業用選果・選別・包装機製造業…装置の製造・販売
  • 空調・冷暖房設備設計施工業…装置内の配管空調設計冷蔵装置製作、プログラム設計
  • 農産物卸売業…花芽販売、花芽市場開拓
  • 静岡大学農学部…開花の誘導分子分析、育成野菜の成分分析

連携の経緯と概要

中核団体であるやまと興業(株)は、自動車部品のパイプ加工で培った技術を超高輝度LEDに応用し、ペンライトや電飾の開発、販売で高い評価と実績を挙げていた。

こうした中、静岡大学との産学連携を契機に、LEDの農業分野での利活用の研究を重ねていたところ、栽培農家から「チンゲンサイを高付加価値化・農産品化させたい」という相談を受け、チンゲンサイの花芽を工場で生産する試みが始まった。自然界では、チンゲンサイは、春1回しか発芽しない。しかし、苗にLEDを照射することで、花芽育成を誘導し、通年栽培を可能とすることが大学との共同研究で明らかになり、農業分野でのLED光の利用をテーマに据えた「農商工連携」がスタートした。連携をはじめて4年。密閉された空間の中でチンゲンサイの生育に必要な光や温度を微妙に調整する技術が結実し、チンゲンサイの花芽誘導制御装置(「バーナリくん」)の開発に成功した。

現在は、「バーナリくん」の販売と併せて、花芽を食べる食文化の普及を図るため、地元の大手スーパー等での花芽販売を展開。育成された花芽は、風味が良く、ホテルや高級中華料理店でも食材として好評を得ている。さらに、イチゴやトマト、マツタケ、シイタケなど農産物から真珠の養殖などにも応用すべく研究を進めている。

■中核企業を中心とする連携体のスキームと展望