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特集

平成19年4月1日 新・組合法施行
注意 総会手続きなど大きく変更!

具体的な改正点の概要

(1)一般組合改正点

2. 理事による利益相反取引の制限
Check5 : 理事の「利益相反取引」が制限

これまで理事は、組合と契約する場合のみ理事会の承認が必要とされていた。

本年4月1日以降、理事は「組合と取引しようとするとき」「組合が理事の債務を保証する等組合と理事の利益が相反する行為をしようとするとき」に理事会の承認が必要となり、取引後には重要な事実を理事会に報告する義務が課される。

なお、利益相反取引をしようとする理事は理事会の定足数に算入されず、議決権も停止される。

3. 監事と組合員の権限

(1)監事の権限拡大

Check6 : 監事の権限が拡大される
これまで会計監査のみを行ってきた監事は今後、原則として会計監査に加え業務監査(理事の業務執行の監査)も行うことになった。このため、理事や使用人等に対する組合事業の報告請求や業務、財産や総会提出議案の調査権限が与えられるほか、組合と理事間の訴訟の際に組合を代表する権限が与えられる。
Check7 : 理事会への出席など義務が強化

監事の権限強化に伴い、理事長に対しては、監事にも理事会の招集通知を発する義務が課されるとともに、監事に対しては、理事会への出席とその議事録への署名、記名押印義務が課されるなど、権限が強化される。この場合、理事会議事録への記載事項も追加される点に注意。

Check8 : 経過措置には十分に留意

この変更は、事業年度が4月に開始される組合の場合、20年4月以降に開催される19年度決算に関する通常総会終了の後に適用される。現行中協法においては監事の権限は会計監査に限定されている。したがって、この経過措置期間中に監事の権限を業務監査にまで拡大(行政庁に対し停止条件を付した定款変更の認可申請を行うことも含む)することはできないことに留意する必要がある。

なお、監事の権限を従来の会計監査のみから業務監査にまで拡大する場合は、その時点で一旦監事の任期は終了する。

(2) 監事の権限の会計監査への限定と組合員の権限拡大

Check9 : 組合員数1000人以下なら監事の監査権限を会計監査に限定できる

組合員数(連合会の場合は会員組合の組合員の合計)が1000人以下の組合では、定款にその旨を定めることで、従来どおり監事の権限を会計監査に限定できる。

この場合の1000人以下かであるかどうかの判断は、法施行後開始する事業年度の開始の時点で判断する。

また例えば、19年度の開始時点で1000人以下であった組合において翌20年度の開始時点で1000人を超えた場合には、その年の5月の通常総会の終了時までは1000人を超えない組合であるとみなされることから、通常総会で定款変更を行うとともに停止条件を付して監事の改選を行うこととなる。

逆に1000人を超えている組合が翌事業年度の開始時に1000人以下となった場合であって今後、業務監査権限を与えないこととしようとする場合も、その年の通常総会において定款変更を行うことで対応することが可能である。この場合は監事が任期途中であっても改選を行う必要はない。

現定款規定のままなら、監事の権限は会計に関する監査に限定される。

監事の権限を会計監査に限定する旨の定款規定については、現定款が全国中央会の定款参考例にならっている場合には、「監事の権限が会計監査に限定される」ため、定款変更は不要。逆に、業務監査の権限を付与する場合には、定款変更が必要だ。

Check10 : 組合員の権限が強化される
一方、従来どおり監事の権限を会計監査に限定する場合、組合員に理事会の招集請求権が与えられるなど、監事の業務監査権限に相応する権限が組合員に与えられる。
Check11 : 総会・理事会議事録の記載事項等が異なることに留意する

監事の権限が会計監査に限定されるか、理事の業務監査にまで拡大されるかによって、総会議事録の記載事項や理事会議事録の記載事項が異なるので注意を要する。

なお、監事の権限が会計監査に限定されている場合で、監事が理事会へ出席した場合には、中協法施行規則上にその旨の規定がないことから、理事会議事録への署名、記名押印義務等が課されることとなる。

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4. 決算関係書類等の作成・手続の明確化
Check12 : 決算関係書類等に関する手続きが明確化される

これまで、理事は、1.通常総会の1週間前までに決算関係書類を監事に提出しなければならない、2.通常総会の1週間前までに決算関係書類を主たる事務所に備え置かなければならない、とされていた。

今回の改正により、

1. 決算関係書類及び事業報告書は、監事の監査を受けた上で理事会の承認を受けなければならない
2. 理事は、理事会の承認を受けた決算関係書類、事業報告書及び監査報告を、通常総会の通知とともに組合員に提供しなければならない
3. 組合は、通常総会の2週間前までに決算関係書類及び事業報告書を主たる事務所及び従たる事務所(従たる事務所へは写し)に備え置かなければならない、とされた。

Check13 : 決算関係書類を通常総会の招集通知と併せて組合員へ提供

これまで通常総会の招集に当たっては議案を示すことで足りていたが、4月以後に通常総会の招集通知を発出するに当たっては、決算関係書類と事業報告書、監査報告を併せて提供しなければならない。したがって、決算関係書類、事業報告書は事業年度終了後に、できるだけ早く作成することが必要である。

また、監事が監査報告を理事に通知するまでの期間は、組合から決算関係書類(業務監査権限を有する監事は事業報告書を含む)を提供されてから、原則として4週間をあけることとされた。

このこと及び通常総会の2週間前までに決算関係書類及び事業報告書を事務所へ備え置くことが義務づけられたことから、年度末終了後に速やかに決算関係書類、事業報告書を作成する必要がある。

ただし、監事が決算関係書類(業務監査権限を有する監事は事業報告書を含む)の提供を受けてから、結果として4週間を待たずに監査報告を行うことは問題ない。このため、監事の監査能力と監査に要する実際の期間を見極め、関係書類の作成期限を予め決定することが肝要である。

以上を踏まえて、総会スケジュールや決算関係書類などの提供方法等について、個々の組合で検討することが必要である。

なお、組合員全員の同意がある場合には、総会の招集手続を省略できるが、この場合には法令上、決算関係書類、事業報告書を組合員に事前に提供する必要はない。

また、事前に提供することが必要なものは決算関係書類、事業報告書であり、収支予算や事業計画などは事前提供の対象になっていない。以上の改正内容を踏まえた通常総会招集の流れは下のとおり。

通常総会の手続きフロー図

5. 会計帳簿等の保存の義務化、会計帳簿の閲覧請求要件の緩和

会計帳簿について、会計帳簿の閉鎖後10年間の保存が義務づけられました。また、会計帳簿の閲覧請求要件が、総組合員の「1/10」から「3/100」に緩和された(定款でこの割合をさらに緩和することも可能)。ただし、共済事業を行う組合及び信用協同組合・連合会については、これまで通り「1/10」とされている。

6. 施行規則に基づく決算関係書類、事業報告書、監査報告の作成

これまで、組合が作成する決算関係書類(財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案)や事業報告書、監査報告については、法令上に特段の作成基準が示されていなかった。

これらについて、主務省令(施行規則)に基づき作成することが義務づけられ(中協法第40条、前掲)、具体的な作成基準が定められました。

  • 中協法施行規則
    決算関係書類(第45条〜82条)、事業報告書(第83条〜87条)、決算関係書類及び事業報告書の監査(第88条〜97条)
  • 中団法施行規則
    決算関係書類(第17条〜45条)、事業報告書(第46条〜49条)、決算関係書類及び事業報告書の監査(第50条〜53条)

施行規則で示された区分等を踏まえた決算関係書類、事業報告書の様式参考例については中央会にお問合せを。また、今後改訂を予定している中小企業等協同組合会計基準でも詳述する予定だ。

また、本年4月1日以前に到来した決算期に関して組合が作成する貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案、事業報告書については、この規則に沿って書類作成を行う必要はない。

なお監査報告については、特段の経過措置が設けられていないことから、4月以降、施行規則に基づき作成する必要がある。

7. 軽微な規約等の変更の場合の総会議決の省略

規約等の設定、変更、廃止は総会の議決事項であるが、軽微な変更及び主務省令(施行規則)で定める変更事項は、定款でその旨及び組合員への通知方法等を定めることにより、総会の議決を要しない。

8. 理事、監事ごとの役員報酬の設定

会社法の準用により理事、監事の報酬の設定は、それぞれに区分し、総会の議決を経るか定款へ記載することが必要。