特 集 
 FLASH 
 専門家の眼 
 「くみあい百景」 
 編集室だより 



指導員の現場から
時代背景で法も変わる。
各分野に高いアンテナを。



外国人研修生受入れ組合の現状

 現在、静岡県内には東部五組合、中部五組合、西部六組合と合わせて十六組合が外国人研修生の受入れ事業を行っている。また最近は、当事業を行うための設立相談や、既存組合より定款変更による事業追加を求めるご相談も増えている。
 しかし、全国規模で外国人研修生に関連する事件発生件数は増加しているため入国管理局の審査は、ここ一〜二年でずいぶんと厳しくなっている。結果として、入国申請をしたものの、許可取得に予想以上の時間を要したり、申請人数に到底満たない人数しか受入れできないなど、過去の経験則では計れない事態に直面したりする。こうなると組合側は受入れ事業計画に、また、組合員側は現場での研修計画にメドが立たない状態におかれることになる。 こうした背景もあって、組合設立や定款変更の認可申請に際しても、行政庁の審査は慎重にならざるを得ない。したがって、組合が新たに研修生受入れを行うためには、入念な準備はもちろんのこと、不慮の事態に備える覚悟も必要となる。

リサイクル事業への取組み

 近年、中央会の補助事業において建設業関連はじめ様々な分野の組合で、リサイクル事業への取組みを研究するケースが増えている。
 八年程前、汚泥のリサイクルを行う組合の活路開拓調査・実現化事業をお手伝いしたことがある。
 ドロドロの液体状の土から水分を飛ばし固化させる工程を経た後に砂を混ぜることによって、とても良い
グランド材ができあがった。
 河川敷グランドにこの土を入れてもらうよう管理する地元行政担当課にお願いしたところ、二つ返事で了承してもらうことができた。
 ところが、管理の大元である国の担当者からは「リサイクルされた土を使った先例がない」という理由で納入に待ったがかかってしまった。
 今振り返れば、当時は「循環型社会の構築」がいわれ始めた頃で、その具体化に向けた研究や施策は著についたばかりの時代であったと思う。社会全体として、リサイクルに対する認識度は低かった。
 現在では逆に、家電品や自動車を始め様々な製品のリサイクルが法律で義務付けられている。リサイクル品の認識や必要性についても理解が進んでおり、ここに組合員の要請を受けて、組合事業として取り組む社会的背景は整ったといえる。

中央会指導員として

 ただし、外国人研修生受入れ事業やリサイクル事業に対する組合の取組みについては、各種の法律や規則に沿って考えなければならず、組合法のみを見て事業の可否や企業ニーズへの対応を論じることはできない。 だが、時代の要請で法律も変わる。現場から届く切なる声と法律とのギャップにジレンマを感じながらも、時間をかけてでもご要望にこたえていきたい。
(草島)



中小企業静岡(2004年5月号 No.606)