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 特 集 
 専門家の眼 
 「くみあい百景」 
 編集室だより 



労務 Q&A 専門家の眼

昭和十七年五月生まれの男性です。
三五年掛けた厚生年金を、一部減額される「在職老齢年金」で受けながら働いております。年金を全額もらうには給料をどのぐらいにすればいいのか教えてください。

年金を全額もらうには、社会保険の資格を喪失しなければなりません。厚生年金の被保険者である限り、最低でも年金の二〇%がカットされます。
 次回の年金改正で「給料の低い人には一〇〇%支給」という案も考えられているようですが、現行では、厚生年金を掛けている間は「全額支給」は無理です。
 社会保険の資格喪失が全額支給の条件ですが、「年金の減額が嫌だから」という理由で喪失はできません。本人の意志や会社の都合で決まるものではなく、労働時間で判断されます。
 会社の所定労働時間の四分の三以上働く場合は「強制加入」となります。

[例]
● 一日の所定労働時間が八時間の場合
  四分の三は六時間 ・・・・(1)
● 一ケ月の所定労働日数が二〇日の場合
  四分の三は十五日 ・・・・(2)

 一般的には、前記の(1)または(2)のいずれかが下回れば、社会保険に加入しなくてもいい・・・・とされています。
 つまり、「一日五時間三〇分で月二〇日」とか「一日八時間で週三日」などの雇用契約を結んでおけば、社会保険加入の義務はありませんから、厚生年金の全額がもらえるわけです。
 月の合計時間では判断しません。また、給料に関しては、よほど不当な額でない限り、金額は問題にされません。
 厚生年金の加入が四四年以上の人や、障害年金三級以上の症状の人は、六〇歳から報酬比例部分だけでなく「定額部分と加給年金も受けられる」という特例がありますが、「厚生年金の被保険者でない」ことが条件です。
 中学卒業後ずっと厚生年金を掛けて「四四年」になる人は、六〇歳から社会保険に加入して月給二〇万円で働くぐらいなら、「一日八時間・週三日、日給一万円」で社会保険に入らずに働く方が、年金が全額支給になり、総収入はかえって多くなります。
 次の年金改正で、加入基準の「四分の三」は「週二〇時間」になる・・・・という案があり、実施される可能性が高いと思われます。

※障害年金三級程度の症状であれば、 障害年金をもらっていなくても特例に該当します。


中小企業静岡(2004年1月号 No.602)