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地域振興における組合の役割
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企業組合への期待とその課題
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地域に育つ起業の新たな芽
本会では県内全域に組織化政策を浸透させるため毎年、中央会の事務所から離れた地域の組合や中小企業者を対象に組合の設立や運営、施策の普及などの指導を現地に赴いて行う『移動中央会』を開催している。昨年度は富士・富士宮の岳南地域を、そして、今年度は天竜・水窪・佐久間・春野・龍山の北遠地域を対象に開催。テーマを『中山間地域の地域づくりをめざして』とし、地域振興における組合の役割を提言した。
北遠地域では朝市や直売所、温泉開発や道の駅といった施設の開設に伴い地元特産品の開発・販売など、新たな産業おこしが盛んに行われており、『健康』や『食』といった時流に即した分野で、産業の垣根を越えた連携を模索しながらの起業・創業が芽生えつつある。
しかしながら、これら事業は規模の過小性や限定された地域内での情報不足、副業であるがゆえの経営の甘さなど、いくつかの課題を抱えている。
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組合の有効性を強調
今回の移動中央会における提言では、地域振興のあり方を「改めて地域資源の発掘に努め、組織の方向性を明確にし、適正ルール、適正な事業規模の維持が重要」とし、その上で「法人化の検討」を取り上げた。さらに地域づくりの公共性や社会的信用の高さの点で、組合の有効性を強調した。
ここで言う組合とは何を指すか。勿論『企業組合』である。
最近では、企業の第一線を退いた人材や主婦、高齢者、SOHO事業者等が自らの経験やノウハウを活かして、働く場を作ろうとするケースが増えており、介護福祉や託児所開設、地元特産品の開発、ソフトウェア開発等様々な分野での創業に活用されている。
本県では今年度すでに三組合が設立。西部地区ではぞうさん(企)や(企)浜名湖えるだークラブなどが近年設立された企業組合の代表例といえる。新たな創業組織としての注目度は高い。
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事業の将来構想をどう描くか
しかし、企業組合設立後の運営はどうか。
事業のレベルには、(1)趣味や経験が高じての事業化段階、(2)社会的ニーズの高まりや就労の場の確保、地域からの支援・要請等課題解決の段階、(3)経営規模の拡大と経営の合理化が可能な企業化段階に大別される。県内の企業組合の事例を見ると(1)、(2)の段階にとどまっているケースが多い。この要因は何か。経営手法がわからなかったり、共同経営体であるがために甘えがあったりなど様々な理由が考えられるが、明確な要因は明らかになっていない。
新規創業の一つの形態として注目されている企業組合制度。さらなる普及をめざすには、(3)のレベルまでにどう引き上げるか、さらに、企業組合に対する必要な支援策や制度は何か。これらを構築する努力は惜しまない。創業組織としての企業組合の発展は本会の使命でもある。
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