ネットサーフィング
フラッシュ
特集
クローズアップ
Q&A
ネットワーク
東西見聞録
組合百景
読者プラザ
編集室だより
シリーズ
8



 
あらい商工葬祭協同組合


 
町内商業者が葬祭サービスで地域に還元



              
〒431-0302 浜名郡新居町新居
                           3380-8
               TEL 053-594-6314

 



町内商業者が知恵を絞って団結!


 うなぎやすっぽん等のおいしい食べ物、新居の関所跡の観光施設で有名な新居町。
 今回は、この地域を活動範囲に全国でも珍しい葬祭事業を共同受注している、あらい商工葬祭協同組合をご紹介する。
 前身である任意グループが発足したのは平成八年。商工会商業部会の会員四十名で活動を始めた。
 「景気が悪いことに加え、近くには大型店等が出店し、地元の商業者の売り上げは非常に厳しい状況にある。このままじっとしていては、売り上げが減少するのは明らかである。一人一人の力は弱いが、みんなで集まれば、大きな仕事の受注も可能と思った」(疋田理事長)
 農協や町外の商業大型店が進出し、地元商業者の入り込む余地がなくなり、売り上げが激減した。これに対し全員参加で、景気に左右されないものを検討した結果、葬祭を共同作業で行うことで一致。もともと、葬儀の仕出しや引き物、かご盛りは、地元の手によって賄われていたこともあり、任意グループ「葬祭関係の受注に関す事業研究会」が発足した。月二回の勉強会を始め、平成九年十月に酒屋・食料品店・仕出し店・菓子店・寿司店等の三三名で設立した。

町外流出の需要を町内で確保

 主な事業は、町内の葬儀・法事など葬祭関連事業の共同受注。
 昨年の十月までの累計件数は約八十件。昨年一年間の売上高も当初予想の三千五百万円を大きく上回り、約一億円である。これは、町内シェアの約六五lにあたる。
 当初の一ヶ月がほとんど稼動しなかったことを含めるとかなりの実績といえる。単なる物品の提供だけでなく、祭壇の設置、式場の会場整理、交通整理等の手伝いを当番制で行うことも大きな特色である。
 「単に注文を受け付けて商品を売っていては、これからを生き残ることができない。伝統や風習を理解した我々が、時間と労力を使い、きめ細かなサービスを行うことでメリットが生かせる」(同)
 気心の知れた近隣住民が多数手伝うので安心感があり、大手業者と違い最後まで後片付けも行う。一般に依頼した場合は、数百万かかることもあるが、組合に発注すれば、約半分で済む事もある。精神的、コスト的に負担が軽くなり、大きなメリットを受けることができる。


▲きめ細かい組合員によるサービスは、町民の評判が良い

設立の準備に時間をかける

 七つの業種に分かれた研究会では、受注した場合の順番、利益計算等について約一年間念入りに検討を重ねた。
 当初、ノウハウもなく素人ばかりの組合員達が、試行錯誤を重ねた。組合で受注した場合にスムーズにいくかどうか心配する業者もいた。

▲チラシによるPRも効果は大きい


 しかし、専門家が加入し、組合員がノウハウを蓄積したことで規模、ケースにかかわらず、安定したサービスを供給することが可能となった。
 役員のリーダーシップも事業を推進できた重要な要因である。
 「葬祭業のため、いつ仕事が入ってくるか分からない。夜中に電話がかかることもたびたびある」と疋田理事長は語る。
 町の広報等を使った低コストの宣伝戦略、口コミで広がるネットワーク、役員が地元行政、商工団体とのつながりがあることも強みである。

サービスの維持・向上が発展の鍵

 同業種の組合員が数名いるので、サービスが常に一定とは限らない。品質水準の維持、更なるサービスへの取組みは、これからの発展を左右する。
 新規としては冠婚分野も取組みたいとしている。
 「ここまで、発展してきたのも皆さんの協力なしには成り立っていかないことはもちろんである。私たちの最大のお客様は町民であることをあらためて認識することで、現状に満足することなく、日常のサービス向上に努めていきたい」(疋田理事長)


中小企業静岡(1999年 1月号 No.542)