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二、単機能型の方が実態に合っている

 伊那市や駒ヶ根市のバンクPOSと連動したカード、幸手市のコミュニティカードなどはICカードを用いた多機能型カードシステムを導入していますが、成果はいまいちの様です。情報化社会に対応する多機能型カードの有効性は分かるのですが、サービス店会の遅れた運営実態との差が大き過ぎ、顧客データを活用できる処は少ないのが現実です。
 唯一の例外は京都の西新道錦会でしょう。ここでは市場戦略を明確にして活発な販促活動を展開し、地元消費者の取り込みに成功している様です。組合の分散型組織や事業運営を軌道に乗せた安藤理事長の存在も大きいですが、カードシステムとしては烏山駅前の上を行っていると思います。
 県下では残念ながら、そこまでやっている例はない様ですが、ポイントカードに限定した単機能型カードを用いて成果を上げている処がいくつかあります。
 その一つを具体的参考事例として紹介しましょう。


三、福田町の「象さんカード」に注目!

 福田町商業協同組合の「象さんカード」は、大成功とまでは云えませんが、かなりの成果をあげていて、将来的に高い成功可能性を秘めていると思います。
 カードシステムは、S社の数字表示式のPETカードを用いたポイント限定の単機能型カードですが、顧客サービスや事業運営に次のようないくつかの特長があります。

(1)ポイントカードのサービス率は二.五%です。県下では一番高いサービス率ですが、これは日本一ではないかと思います。

(2)年間六千万円前後のポイント売上高があります。多くの処が三千万円未満の現状ですから人口比にしたら県下一、全国的にも上位の方でしょう。

(3)ポイント三倍セールを毎月「三」の日に実施しています。大型店などがやった消費税還元セールの以前から、それ以上の「七.五%還元」しているのです。

(4)加盟店は七〇店です。多様な業種構成ですが、特売品を含む全商品対象でやっている地元スーパーやクスリ店、三倍セールを三日続ける衣料品店などの存在が大きい様です。

(5)カードの切り替えを三年毎に実施します。三カ月かけて会員所持カードの残をゼロにして貰うのですが、休眠会員の活性化、ポイントによる売上効果が大きい様です。

(6)地元の旅行業者と提携して「旅行クーポン券」を特別三割引で、ポイントカードで購入できる様にしています。

(7)ポイント購入や換金処理は商店街の中にある商工会(委託)でやっていますので、気軽で便利、端末機のメンテナンスも地元で出来ますから安心です。

 ”宣伝下手”がちょっと気になりますが、地元消費者には次第に理解されている様です。最近実施した消費者アンケートでは”ポイントカードがあるから”が、「地元商店を利用する理由」の2番目でした。経営者アンケートでも「ポイントカードの販売促進効果について」加盟店の八〇%が”効果がある”と回答しています。
 他に、榛原町の「ハイカード」や東伊豆町の「HiPカード」も成果を上げつつありますが、顧客データを活用している熱海市の「アペカード」も期待したい処です。
 カード事業は大型店・郊外型店対策の”最後の切り札”と考えて、がんばってください。



中小企業静岡(1999年 1月号 No.542)