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組合が進める
防災活動


レポート3 県内組合の活動状況
業界の専門分野を生かした防災活動
 
CASE-3

市民の水を守る防災倉庫を完成

富士宮市管工事協同組合


 雄大な富士山麓に位置する富士宮市。
 富士宮市管工事協同組合は、そこに住む人たちの“水”を守る水道工事業者で組織している。
 以前から東海地震発生の恐れが指摘される静岡県だが、万が一の際には、水道をなるべく早く復旧することが、市民が落ち着きを取り戻すカギとなる。
 組合ではこうした事態に備え、『防災備蓄倉庫』を建設し、昨年七月に完成した。
 倉庫は組合会館に隣接して建てられており、鉄骨造で広さは約七五平方?。
 ここには、給水工事に必要な資材一式を備えておくわけだが、ただ何でも置いておけばよいというものではない。
 例えば、水道管には、敷設された時期や場所によって材質や太さなどの違いがある。市内のどこでどのような水道管が使われているのか、災害時に本当に必要になる物は何なのかといったことがわかっていないと迅速な復旧作業ができない。
 組合ではこれらの状況なども把握し、緊急時に効果的にその機能を発揮できる倉庫となるよう、備えておく資材の内容や種類なども含め検討を重ねている。
 組合が、防災備蓄倉庫を建設するきっかけになったのは阪神淡路大震災での救援活動。組合員全員が復旧作業に参加した。
 ところが、いざ作業をはじめてみると、援助に駆けつけた各地の水道組合が持ち込んだ資材が、現地の水道管に合わないことが多かった。そのため、一件一件水道管を掘り起し、調査をすることからはじめなければならず、復旧までに予想以上の時間と労力を要したという。
 組合ではこの経験を生かし、市内で使われている資材を確保し、災害時に復旧作業を迅速に行える体制作りを目指して、防災倉庫建設に取り組んだ。
 阪神淡路大震災を契機に、非常時への備えを組合事業の中に取り入れようという動きが目立つようになっているが、この組合の活動もその一つ。
 業界の事情はさまざまだが、有事に市民のために役立とうという気持ちはみな同じだ。

▲昨年七月に完成した防災備蓄倉庫



CASE-4

災害時の物資調達協定を締結

静岡県給食協同組合連絡協議会

 県給食協同組合連絡協議会は、昭和六〇年四月に発足。
 給食事業を行う六つの協同組合で構成され、給食事業に関する情報交換や集団給食の近代化のあり方等について研究している。
 同協議会では、昨年八月に、県との間で「災害救助に必要な物資の調達に関する協定書」を取り交わした。
 これは、知事に認可された団体の集合体という特色を生かして、地域に貢献できる活動をしたいという協議会の意向から実現したもの。
 協定書では、静岡県内で災害が発生したり、その恐れがある場合に、県当局の要請に基づいて、おにぎりや弁当といった、その時点で調達可能な食料品を指定された場所に供給することを主な内容としている。発災時の状況を考えて、協議会では複数の連絡先も設定した。また必要があれば、県外で災害が発生した場合でも同様の対応をしていく。
 食品の供給が期待されているのは、ライフライン等がストップした発災直後と、電気、水道等の復旧が見込める発災後三〜四日にかけて。
 同協議会では、おにぎり、弁当それぞれ三万個の製造が可能としており、災害等が発生した際、特に心配される食料調達の面で効果を発揮することが期待されている。
▲昨年八月十九日、県庁で望月県農政企画課長(左)
と杉山協議会会長(右)が協定書を取り交わした。


中小企業静岡(1997年 4月号 No.521)