業界の専門分野を生かした防災活動
静岡県産業廃棄物処理協同組合では、組合員による「災害時における救援出動体制」を整備、これを昨年一月に資料としてまとめた。
組合員の事業所には、廃棄物を運搬・処理するための車両や重機、そしてこれらを的確に扱える人材がいる。
組合の調査によれば、組合員各社が災害時に派遣できる人員や車両・重機類の数は、災害時に応援可能な人員が一千三百人以上、車両・重機が一千百台以上。
こうした人材や機器を駆使して、地震などの災害によって発生した大量の“廃棄物”を迅速に処理し、被災地の環境回復に役立てようというのが目的だ。
また緊急時に連絡を取り、迅速な救援活動ができるよう、関係機関からの応援要請を、理事長や事務局を中心とした対策本部が受け、これを東・中・西の三地区に分かれた連絡責任者を通じて協力組合員に伝達するシステムを整え、その内容を資料に盛り込んだ。
組合では、作成した資料を静岡県や県内各市町村をはじめ、警察、消防、鉄道、道路公団など幅広い機関に配布し、災害時には組合として救援活動に協力することを申し入れた。
実は組合がこのような資料を作成したのは今回が初めてではない。昭和五五年一月にも災害時における奉仕活動体制を整備して、県や市町村に協力を申し出ている。
奇しくも同年八月、静岡駅前の地下街でガス爆発事故が発生。静岡市の要請で同市内の組合員が協力した実績がある。
その当時に比べ、組合員数が増加するなど内外の事情が変わる中で、一昨年一月の阪神淡路大震災をきっかけに再度整備を行う気運が高まった。
ひとたび災害が発生すれば建物の倒壊などで交通網が寸断され、復旧作業に支障が出ることが予測される。組合ではこうした場合を想定して、廃棄物を交通の妨げにならない広い土地に一時撤去し、さらにこれを最終処分することを主な救援活動と考えている。
資料の表紙には“最悪のシナリオに備えて”と記されている。組合では今後も資料の改訂を行うとともに、災害時にどんな活動ができるのかを考えていきたいという。 |
▲組合で作成した資料 |
今年三月、伊豆東方沖で群発地震が発生。市民生活や産業界に大きな影響を与えた。
県東部地区では、神奈川県西部地震が七〇年に一度の割合で発生するなど、とりわけ県内でも地震の動向には関心の高い地域だ。
沼津市建設事業協同組合は、平成六年一月に設立。共同受注事業を中心に、現在活躍中の組合だ。
同組合では、市民の防災意識を高めてもらうことを目的に、昨年八月、“そのまえ そのとき そのあと”をテーマに「防災フェア」を開催した。
沼津市振興公社駅北管理地(同市杉崎町)で行われたこのフェアは、地元消防署の全面的な協力を得て行われ、はしご車や起振車が並んだほか、消防署のレスキュー隊がファイバースコープを使った被災者の救出作業を実演し、最新の機器を駆使した救出活動を紹介した。
また、防災用品や阪神淡路大震災の被害状況等を示したパネルを展示するなどして、地震の恐ろしさや、そのときどう対応すべきかなどを来場者に訴えた。
開催期間中、親子連れなどで賑わった「防災フェア」―――。
“防災関係”のフェアといえば、行政などが主催するケースがほとんどだが、この催しは、組合が単独で企画し自主的に開催した。
組合では、九年度も実施したい意向だが、PRに多くの経費がかかるなど課題があるのも事実。関係各所との協力のあり方も含めてさらに検討していく考えだ。 |
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▲最新のファイバースコープを使った被災者救出活動の実演風景。 |
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