阪神淡路大地震を
契機に変わった「県民意識」
年々高まる「東海地震」の危険性
東海地域では、昔からM7〜8クラスの大きな地震が周期的に発生している。
古くは一四九八年の明応地震にはじまり、その一〇七年後の一六〇五年には、慶長地震が発生。さらに、一七〇七年の宝永地震と続き、一四七年後の一八五四年には安政東海地震が発生している。
そして現在(一九九七年)、安政東海地震からすでに一四〇年以上が経過し、地震活動の空白化が続いている。
日を追うごとに、地震のエネルギーは蓄積され、年々東海地震発生の危険性は高まってきているのである。
「東海地震」のメカニズム
ところで、東海地震はどのようにして起るのだろうか。
そのメカニズムはこうだ――。
伊豆半島が乗った「フィリピン海プレート」は、静岡市などを乗せた「ユーラシアプレート」の下に沈み込んでいる。
その際、ユーラシアプレートが引きずり込まれ大地にひずみを生む。このひずみが限界点に達したとき、大地は破壊され跳ね上がり大地震は起るのである。
ひとたびM8クラスの大地震が起れば、震度5〜7の揺れが県内全域を襲う。
駿河湾では、ジェット機なみのスピードで津波が海を渡り、早いところでは、わずか数分で我々に襲いかかる。
この大地震の被害想定によれば、地震予知がなされない場合で、死者二千五百人、重傷者九千三百人。大破した建物は十五万五千棟にものぼるといわれている。
しかし、もし予知ができれば、死者は三七〇人に、そして重傷者も二千五百人にとどめることができる。
それだけに、地震予知には、関係当局により最大限の力が注がれている。
地震予知のための方策
M8クラスの大地震ともなると、その発生前に幾つもの“前兆”が現れてくる。
この前兆をとらえ、地震の発生を察知しようというのが「地震予知」である。
平成八年四月現在で、県内に張り巡らされた地震予知観測機器は三〇五。世界一の観測網である。そのうち、三分の一のデータは、東京にある気象庁へ電話回線を通じて自動的に送られ、二四時間体制で観測されている。
こうした懸命な地震の予知対策が講じられてはいるものの、技術的にこれからの部分もあり、万全なものとはいえない。
予知されず、突然東海地震が発生することもあり得るのである。それだけに「自らの命は自ら守る」ということを改めて肝に銘じておかなければならない。 |