静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2008 February No.651 「M&A」雑感 生き残りと活性化をかけて広がる「M&A」「2006年版中小企業白書」によると、経営者が55歳以上の中小企業のうち、「事業を何らかの形で他者に引き継ぎたい」という回答は、96%であるにもかかわらず、後継者を既に決めている企業は47%と半数に満たず、後継者が見当たらないという回答は15%にも達するという。さらに、後継者が見つからなかった場合には77%が「事業の売却」を検討しているという。 「事業の売却」の一環としての「M&A」は、Merger(合併)とAcquisition(買収)の頭文字を取った言葉であるが、これらはかつて大企業間での「会社乗っ取り」といったマイナスイメージでとらえられがちであった。 しかし、最近の企業を取り巻く環境(後継者不足、情報化社会、技術革新、外資系企業との競争等)は大きく変化し、「M&A」に対する期待やニーズも多様化してきた。 進みゆく法整備かつては旧商法上、合併や事業譲渡には、規模の大小を問わず株主総会の特別決議が必要であった。 しかし、これでは小規模な事業再編でも長期間を要し、経営に支障をきたすということから、簡易の組織再編制度(要件に合致すれば、株主総会の決議は不要)が生まれた。また事業譲渡、会社分割にも簡易制度が設けられた。 会社法施行後においては、さらに次のように緩和された。(一部のみ掲載)
その他、種類株式、新株予約権を用いた企業買収防衛策がより容易になる等、機動的かつ多様な組織再編が可能となるよう法整備が進められた。 効果的かつ慎重に「M&A」のメリットは、新規に事業を起こす場合と比較すると、より具体的にみえてくる。即ち
その他、補完関係による相乗効果、複数事業の組み合わせによるリスク分散等が挙げられるが、総括すると、「大幅に時間を節約できる」点に集約できよう。 しかしいざ実行となると様々な困難に直面することが多い。また成約までに通常1年程度、2年かかることもざらとのこと。最も重要なことは相互の信頼関係と秘密保持であり、特に株主、債権者、従業員への情報提供は慎重に慎重を重ねる必要がある。 企業の生き残り戦略として、あるいは積極的な事業展開に「M&A」は一考の価値があると考える。 (松下剛久)
|
静岡県中小企業団体中央会
〒420-0853 静岡県静岡市葵区追手町44-1
TEL 054-254-1511FAX 054-255-0673 Copyright © 2006 Shizuoka Chuokai All Rights Reserved. |