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医療関連機器業者等の交流を促進



期待される 新たな産業展開

富士山麓ファルマバレー構想

 「ファルマバレー」。東部地域の産業を語る上で、最近良く耳にする言葉である。
 静岡県が展開する「富士山麓ファルマバレー構想」は、平成十四年秋の静岡県がんセンター(仮称)の開院を契機に、富士山麓一帯を世界レベルの先端医療産業の集積地にしていこうとするものである。
 本格的な高齢化の進行により、医療・福祉関連産業は成長産業のひとつとして注目されている。製薬産業をはじめ、医療機器産業や食品工業などの製造業、在宅福祉開連サービスなどのソフト産業はもとより、ITを活用した医療情報関連産業、リハビリ機器・福祉機器産業なども成長が見込まれている。また、疾病構造の中心が感染症から生活習慣病へと広がる中で、病気予防の重要性が増しており、健康増進や予防医学に基づくウエルネス産業の創出の可能性も高くなっている。(ウエルネスWellnessとは病気Illnessの反対語で心身ともに健康なことを意味する造語。生活習慣病などの疾病を予防し、健康増進に役立つような食品、運動、温泉リゾート等のサービスやそれらを組み合わせた新しいビジネスのことをウエルネス産業と呼んでいる)
 静岡県の医療関連産業を見ると、医療品出荷額、医療用具出荷額ともに大阪府、埼玉県に次いで全国三位と、一定の集積があり、静岡県の産業の重要な一角を占めている。特に、東部地域は、静岡県の製薬企業の約四割が立地し、医療産業の高い集積が見られる。また、東部地域は新幹線や東名高速道路で首都圏へのアクセスが一時間余という立地上の好条件を有しており、富士山麓の広大な裾野には自然と調和した都市集積があることから、新たな産業展開には絶好の地域となっている。
 この恵まれた条件を生かして、産学官連携による医療に関する研究開発を行うことで、東部地域における医療関連産業の新たな発展と集積が期待されている。



連携による開発を促進

 本会沼津事務所では、東部地域の医療産業の高い集積を考慮して平成十二年度より医療関連の中小企業者の交流会を開催している。この医療関連機器交流会は大学、行政、公的研究機関などを協力機関として、医療機器や部品、用具等の製造業者をはじめ、関連する事業者や医療機器に関心のある事業者の研修と交流の場を設け、異業種連携による医療機器や医療用具の研究、開発を促進するものである。
 今年度は八月から月一回のペースで交流会を開催。製品開発についてのアイデアも続々と出されている。
 医薬品や高度な医療機器の開発は膨大な時間と費用がかかり、中小企業で開発するのは非常に難しい。現在、交流会では医療現場でのニーズを基に、既存の医療機器、用具の改良、開発を中心に進めている。既に連携による開発が進んでいる案件もあり、今後の成果に期待している。


中小企業静岡(2002年 1月号 No.578)