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時を遊び、空間を遊ぶ

 インターネットで組合のホームページを開くとトップページには、「時・遊・空・間」を中心に企画、建築意匠設計、建築構造設計、建築設備設計、景観設計、ビジュアルデザイン、土地コンサルタントなどがプラネット状に構成されている。
 平成七年、異業種の組合員九名で構成された当組合が、単体ではなく高い技量を持った複合集団であることをこのページでイメージしている。
 「これだけのスタッフがそろった企業体はない」と小川 修理事長が自負することもうなずける。
 それにしても時遊空間という名称も面白い。
 「時を遊び、空間を遊ぶという意味ですが、僕らも遊びを大切にして創造したいという意味もありまして」(同理事長)と笑顔で述べる。
 本心は、ゆとりのある空間を創造する、という意味なのかもしれない。
 設立して四年を経過、「時遊空間も世間に知られてきました。旅館とか商業施設など比較的目を引く建築物を手がけてきたのが理由なのかもしれない」(同)という。
 今年十月、組合で手がけた旅館二軒がさるテレビ局の全国放送で優れた旅館として紹介された。建築意匠のみが評価の対象でなく、接客、経営など全般が評価対象とはいえ、建築設計もポイントになる。
 「全国十軒登場し、その内の二軒が僕らが手がけたもの」(同)と自信を見せる。



▲設立して五年目を迎え、
 今後の運営のあり方と
 発展への期待を語る
 小川理事長。


お客のコンセプトを形にする

 現在、組合が手がけているものに修善寺町営の外湯(公共温泉浴場)がある。
 施設の名称は「筥湯」(はこゆ)。高く聳えた望楼と天窓が特徴的な和洋折衷の外観を見せる。男女とも十五人程度が入浴できる比較的小規模な外湯とはいえ、すでに有名な「独鈷の湯」の近くでもあり、修善寺町のまた新たな観光スポットが来年二月にはオープンする予定という。
 「お客さんのコンセプトに対してわれわれが専門的に付加価値をつけて形にする」(同)と語る。
 とはいえ、組合経営の悩みもある。
 「お客さんにとって顔が見えにくいということもあるんです」(同)。というのは、設計というのは、その設計士個人の能力や人柄を信頼し、仕事を任す。施主にとって、組合に任すという場合、その個人が見えにくいということは考えられる。「そのためには組合員が責任を持ってやる」(同)というのが大切だと強調する。
 今回の取材の中で小川理事長は組合に対する認識、今後の運営のあり方などについての悩みも率直に語ってくれた。そして最後に「(設立して)五年目、ちょうど境目の時なんだと思う」と言う。営業が弱いといいながらも、共同受注実績は上げてきた。
 地元はむろん一般にも注目される存在となった今、さらに足元を固め大きく発展することを期待したい。


中小企業静岡(2000年 1月号 No.554)