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シリーズ「くみあい百景」

迫力満点の花火大会で、誘客増を実現

熱海温泉ホテル旅館協同組合

住所:〒413-0011
熱海市田原本町9番1号 第1ビル2階
理事長:内田 進
組合員:62人
設立:平成11年6月
TEL:0557-81-5141
FAX:0557-81-5143
URL:http://www.atamispa.com

 

わが国を代表する温泉リゾート

“春夏秋冬” 楽しめ夜空を埋め尽くす
「熱海海上花火大会」。
迫力満点の花火の音、あまりの美しさに瞬きを忘れるほどである。

熱海温泉の起源は、今から1250年ほど前の奈良時代に、さかのぼると言われている。

江戸時代には、徳川家康が子供をともない湯治に訪れるなど、熱海の湯をこよなく愛したそうだ。

それは歴代将軍にも受け継がれ、「御汲湯(おくみゆ)」と言われ、大名行列なみに湯を担いで江戸城まで運ぶ行事が恒例になっていた。これで、熱海の名声は全国に広まり、多くの大名たちが訪れるようになった。

明治時代に入り、尾崎紅葉の新聞小説「金色夜叉」の舞台に熱海が登場すると、その知名度はますます上がっていった。

戦後は、高度経済成長にともなう旅行ブームで、「社員旅行」や「新婚旅行」のメッカとして脚光を浴び、年間500万人を超える宿泊客を集めるなど、全国有数の温泉地として発展を遂げてきた。

しかし、このように隆盛を極めてきた熱海温泉であったが、バブル崩壊以降、年間宿泊客は300万人を割り込むまでに減少し、熱海市経済に与える影響は、非常に大きいものとなっていった。


迫力満点!春夏秋冬の花火大会

当組合は、こうした状況を打開し、さらに積極的な誘客活動を行う目的で、任意組織である「熱海温泉旅館組合」が母体となり、平成11年に設立された。

「法人化で、人事・会計などが明瞭となり、社会的信用度が増し、花火大会など、補助金の受入れも円滑に進むようになった。最大の効果は、組合員の意識が飛躍的に向上したことである」。内田理事長は、法人化の効果を述懐する。

組合は、共同誘客事業のひとつとして、毎年、「熱海海上花火大会」を開催している。

「花火大会の開催は、国内の誘客活動に最も速効性がある。熱海市は、三方を山で囲まれているので自然の音響効果で、花火の音は迫力満点となる。市などの支援を得て、今年は、組合主催で12回開催する予定である。 “春夏秋冬”で花火を楽しめる温泉地は全国でもほとんどなく、今では熱海の代名詞のひとつになっている。反面、莫大な費用もかかり、市の財政状況も厳しいことから、花火に依存する誘客方法からの脱皮も、検討していかなければならない」。理事長は、新しい誘客活動の必要性を訴える。

便利に、そして安心・安全のために

「安心してくつろげる本物の温泉地づくりを目指す」と語る内田理事長。

組合では、平成13年9月に旅行業の許可を取得し、直接宿泊客の受入れを行うとともに、団体旅行の手配などを行っている。

「協同組合が旅行業の許可を取得するケースは、全国でも珍しい。組合が直接に予約を受入れることで、宿泊客の利便性は向上する。組合にとっても収益向上に貢献できる」と理事長はその意義を語る。

組合のこうした活動が功を奏し、減少を続けていた宿泊客が戻りつつある。さらに、平成21年には、富士山静岡空港が開港し、遠隔地からの観光客の増加が期待される。

「東アジア地域の経済発展により、中国・韓国・台湾などからの、宿泊客は増加している。静岡空港を活用した誘客も、今後検討していかなければならない。しかし、あくまでも、国内の誘客が基本である。安心してくつろげる本物の温泉地づくりを目指すことが、大事である」と理事長は説く。

組合は、宿泊客に安心してくつろいでもらえるように、安全面の活動も積極的に行っている。

数年前、温泉施設が感染源となり、大問題を引き起したレジオネラ菌予防や耐震対策などである。

「組合では、年2回半強制的に、組合員施設のレジオネラ菌検査を行い予防に努めている。新耐震基準(昭和56年施行)への対応も積極的に啓蒙しているが、歴史のある施設は基準を満たすことが難しく、改修には多額の資金を要するため、頭の痛い問題となっている」。

理事長はその対応に嘆く。

静岡県民の誘客に期待

景観整備が進む熱海港の親水公園。

「癒しブーム」と言われているように、温泉自体へのニーズは高いものがある。団体旅行が減り、個人旅行を中心とする小グループ旅行や滞在型・グルメ型など、旅行形態は変化している。

「熱海も旅行ニーズに対応するように色々な面で努力し、大きく変化している。 “熱海は値段が高い”というイメージがあるが、そんなことはありません。安くて良い旅館もたくさんあります。調べてみると、静岡県民の宿泊率が意外と少ないようです。是非、県民の皆様に熱海に足を運んでいただきたい。本物の温泉と料理で、心から歓迎します」。理事長は、地元にも愛されたい想いを熱く語った。