静岡県の労働事情 18年度中小企業労働事情実態調査結果の速報

経営状況

景気回復へ「悪い」は大幅減

経営状況について、「よい」と回答したのは17.1％で、昨年より1.9ポイント上昇。逆に「悪い」は、33％で、7.5ポイントの大幅減少。こうした数字からも、少なからず景気回復を実感する中小企業の様子が垣間みれる。

「良い」と答えた事業所を業種別にみると、最も割合が高いのは「金属・同製品製造」の41.7％で昨年同様にトップ。2位は「出版・印刷・同関連」が昨年4位から急上昇。3位は昨年2位の「機械器具」で、順位を落とした。

逆に「悪い」と回答した業種で最も多かったのは昨年と変わらず「窯業・土石」で、以下「総合建設業」、「木材・木製品製造」が続いた。

経営状況（％）

規模・業種	事業所数	良い	変わらない	悪い
全国	17,959	12.6	46.2	41.2
静岡県　計	403	17.1	49.9	33
1〜9人	94	6.4	46.8	46.8
10〜29人	137	18.2	45.3	36.5
30〜99人	129	21.7	53.5	24.8
100〜300人	43	23.3	60.5	16.3
製造業　計	205	19.5	47.8	32.7
食料品	40	10	52.5	37.5
繊維・同製品	12	16.7	58.3	25
木材・木製品	37	8.1	40.5	51.4
出版・印刷・同関連	3	33.3	66.7
窯業・土石	14		35.7	64.3
化学工業	4		50	50
金属、同製品	36	41.7	50	8.3
機械器具	49	28.6	42.9	28.6
その他	10	10	70	20
非製造業　計	198	14.6	52	33.3
情報通信業	5		80	20
運輸業	24	12.5	62.5	25
建設業	49	16.3	44.9	38.8
総合工事業	18	16.7	22.2	61.1
職別工事業	7	14.3	42.9	42.9
設備工事業	24	16.7	62.5	20.8
卸・小売業	66	10.6	56.1	33.3
卸売業	40	10	57.5	32.5
小売業	26	11.5	53.8	34.6
サービス業	54	20.4	46.3	33.3
対事業所サービス業	16	12.5	68.8	18.8
対個人サービス業	38	23.7	36.8	39.5

過去3年の景気の推移

悩みトップは「人材不足」。「売上減」は後退

経営上のあい路は、43.4％の「人材不足」が昨年2位からトップになった。フリーターやニート問題や大企業の採用増などの影響をうけ、若年者の採用難に苦しむ様子がうかがわれる結果になった。また、団塊の世代が退職時期を迎えるのも背景にあると思われる。

昨年まで8年連続首位の「販売不振・受注減少」は、41.7％で2位に後退した。3位は、「同業種との競争激化」で昨年と変わらず。

ただし、製造業だけでみると「原材料・仕入品の高騰」がトップで、安定した仕入れ調達に苦しむ中小製造業の姿が浮き彫りになった格好だ。

一方、経営上の強みに関しては、「顧客への納品・サービスの速さ」が4年連続してトップ。「組織の機動力・柔軟性」が昨年の4位から2位に浮上し、「製品の品質・精度の高さ」が3位に下がった。労働力の確保難などを、組織の柔軟性・機動力で乗り切ろうとする一面がうかがわれる。

経営上のあい路の変遷

最近4年間のあい路の変遷（静岡県計）　　　　　　　　　　　　　　　　　 （複数回答：％）

項目	平成18年度		平成17年度		平成16年度		平成15年度
	順位	比率	順位	比率	順位	比率	順位	比率
人材不足（質の不足）	1	43.4	2	37.1	4	32.1	5	23.5
販売不振・受注の減少	2	41.7	1	41.6	1	47.0	1	52.4
同業他社との競争激化	3	34.1	3	36.3	2	36.8	2	44.3
原材料・仕入品の高騰	4	32.3	5	26.1	6	18.5	10	7.1
製品価格 （販売価格） の下落	5	17.7	4	27.3	3	32.8	3	35.1
納期・単価等の取引条件の厳しさ	6	14.9	6	22.1	5	26.8	4	27.7
人件費の増大	7	13.6	7	16.3	7	14.0	6	14.0
製品開発力・販売力の不足	8	11.6	8	13.5	8	12.8	8	10.7
労働不足（量の不足）	9	9.3	−	−	−	−	−	−
金融・資金繰り難	10	8.8	11	6.0	10	9.7	7	11.8
安価な輸入品の増大	11	7.1	11	6.0	11	7.8	12	6.2
後継者難	12	6.6	−	−	−	−	−	−
環境規制の強化	12	6.6	10	6.8	12	6.4	11	6.6

 

経営上の強みの変遷

最近4年間の経営上の強みの変遷（静岡県計）　　　　　　　　　　　　　　　　　 （複数回答：％）

項目	平成18年度		平成17年度		平成16年度		平成15年度
	順位	比率	順位	比率	順位	比率	順位	比率
顧客への納品・サービスの速さ	1	27.8	1	26.5	1	26.9	1	29.5
組織の機動力・柔軟性	2	23.4	4	22.1	4	20.4	3	20.6
製品の品質・精度の高さ	3	23.2	2	25.2	2	25.6	2	20.4
製品・サービスの独自性	4	22.3	6	18.7	3	22.9	6	16.2
生産技術・生産管理能力	5	18.3	5	21.0	7	17.3	4	17.9
商品・サービスの質の高さ	6	16.3	3	22.6	6	17.6	5	16.7
財務体質の強さ・資金調達力	7	14.2	7	15.8	5	18.1	7	14.5
優秀な仕入先・外注先	8	12.8	11	10.4	10	11.8	9	11.6
工場・店舗の立地条件の良さ	8	12.8	12	8.6	12	9.8	10	9.4
製品・サービスの企画力・提案力	10	10.6	9	11.2	8	12.6	11	7.7
技術・製品の開発力	11	10.4	8	13.2	9	12.1	8	12.3
営業力・マーケティング力	12	10.1	10	10.4	11	10.1	12	6.8
企業・製品のブランド力	13	9.3	14	6.0	14	6.5	13	6.3
製品 （商品） ・サービスの価格競争力	14	6.8	13	7.0	13	7.3	14	4.6
情報の収集・分析力	15	1.9	15	3.4	15	3.0	15	2.9