|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
意識改革で魚市場のさらなる活気を 全国で初めてスチロール容器を導入
昭和三〇年代には、鮮魚などを配送する際に使う容器として樽や木箱が使われていた。組合でも工場を設け、これらの容器を製造していた。 「しかし、木製の容器は保温力に問題があり、流通の過程で品質が落ちてしまうのが欠点でした」(同) そこで、これに代わる容器として組合が研究し、昭和四五年に開発したのが発泡スチロール製の容器。現在では鮮魚等の容器として一般的に使われている発泡スチロールだが、これを全国で初めて導入したのはこの組合である。 「最初はかなり反対されたそうです。石油製品である発泡スチロールに生鮮食料品を入れるということは当時は誰も考えなかったことで、抵抗もあったようです」(同) しかし、木製容器に比べて保温効果が高く、低コストで軽いなどの特長を持つ発泡スチロール製の容器は、東京などの市場でも好評で、あっという間に全国に広まったという。 長年行われている事業であるが、最近では組合員の要望によって種類が多くなった容器の規格を統一する一方、容器メーカーの入札制度を導入してコストダウンを図り、組合員への販売価格を引き下げるなど、その運営方法は常に見直されている。 青年部にも厳しい目
組合では青年部の育成にも力を入れている。 同組合の青年部は昭和四五年に設立。研修や親睦事業のほか、地域住民とのコミュニケーションを目的とした『魚河岸寄席』や、機関誌『魚河岸』の発行を行うなど活発に事業を行っている。また、組合青年部が集い、異業種交流などを行う『青年中央会』でも中心となって活躍するなどその評価は高く、平成七年には優良組合青年部として関東通産局長表彰を受けている。 しかし、そんな青年部の活動に対しても親組合からの評価は厳しい。 「毎年同じような事業を続けていてはダメ。もっと青年部らしく、柔軟な発想で、組合の将来につながる事業を考え出して欲しいと思います」(同) 増田理事長自身、『青年中央会』とそのOBで組織する『三友会』でそれぞれ会長を務めるなど、青年部活動には深く関わってきただけに、青年部に期待するものは大きい。 「青年中央会などの活動では多くの経験をさせてもらい、それが現在の私を支えてくれていると感じています。今でも当時の仲間たちとともに、三友会で活動できることは私の誇りです。現役の青年部会員も、自分たちは経営者なんだという意識を持って、積極的に活動して欲しいですね」(同) 組合では現在、青年部に対して新しい事業を提案するよう、課題を与えている。その一方で、組合事業を運営するための各委員会に青年部の会員を参加させるなど、組合活性化のために若い人材を登用している。 歴史がある組合で、しかも魚市場の仲買業という伝統的な業種。ややもすると体質が古くなりがちであるが、この組合の場合、これら事業の運営を見てもわかるとおり、意欲的に新しい事業を展開している。 「もちろん魚河岸の伝統を守り、人の和を保つことも必要です。しかし、だからといって古いしがらみにとらわれてはならない。組合は絶えず意識改革と制度改革を図っていかなければならないと考えています」(同) 全国に先駆けた事業を導入しながら、活気あふれる魚市場を守ってきた沼津魚仲買商協同組合。常に新しい視点で事業を行おうとする姿勢は、創立五〇周年を目前に控えた今でも変わらない。 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|