静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2008 October No.659 組合による
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体長わずか4〜5cm程の桜えびは、駿河湾にのみ生息する世界でも珍しい品種。桜えび漁は1894(明治27)年、富士川沖で始まったとされ、その貴重な資源の保護のため、3月下旬から6月上旬の春漁と10月下旬から12月下旬の秋漁が漁獲の時期にあたる。
獲れたての生桜えびは、その時期にしか味わえない貴重品で、独特の歯ざわりは、釜あげや素干し、煮干し、天ぷらにして食される。水揚げされた桜えびが、乾燥のため海岸一面に並ぶ様は、ピンクのじゅうたんを敷き詰めたような風景を醸し出し、静岡県を代表する特産品・観光資源となっている。
桜えびの国内産地(漁獲)は駿河湾1カ所(海外は台湾1カ所)だけで、競合のない商品だが、更なる知名度向上を目指し申請した。
漁獲者(由比港漁業協同組合)と加工業者(由比町桜海老商工業協同組合)共同で、由比町の支援を受けながら、三位一体で取得申請。特許庁主催の説明会への参加や“富士宮焼きそば”の地域団体商標の登録を担当した弁理士からアドバイスを受けながら申請準備をした。
なお、国内の加工業者は、由比・蒲原・大井川地域に存在するため、蒲原町桜海老商業(協)、由比町桜海老商工業(協)、大井川町桜海老商業(協)の三者が権利者となり“駿河湾桜えび”を同時に申請登録した。
i )申請前
漁獲者、加工業者いずれかの単独認定では、双方に都合が悪いため、共同で申請。申請手続きに必要な資料収集など、組合にはまとめ役が不可欠である。
ii)申請時
登録申請名の「由比桜えび」に加え、「由比産桜えび」など様々な名称を使用していたことから、周知性の証明のための資料収集に時間を費やした。TV番組で取り上げられた際のVTRなども証明資料として添付した。
グレード維持のため、水分量などの品質基準を設け、該当商品のみにブランドシールを貼付し、出荷することとした。
iii)登録後
競合商品が皆無であることに加え、類似商品も品質が大きく異なるためブランド管理上、問題はない。ブランドの活用は、商品検査以外の販売促進など、各組合員が独自に実施している。
桜えび人気は、マスコミへの露出などから年々高まりをみせ、天日干し時期の見学者や観光客も増加している。ただし、漁業自体が天候に大きく左右されるため収量は不安定である。また、漁獲量は、資源保護の観点から限られており、品薄状態が続いているため、思うように販売量が増やせない点が課題。
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焼津市には遠洋漁業の焼津港、近海・沿海漁業の小川港があり、両港で水揚げ量全国1、2位を占める。特に鰹の水揚げ量は、年間約15万トンと全国水揚げ量の40%以上に達するなど、全国一を誇る。こうした中、焼津の鰹節産業は大きな発展を遂げ、鰹節・削り節製品の一大生産地、集散地として全国をリードしてきた。
地域団体商標申請の目的は、ブランド力の復活である。かつて、鰹節・削り節の生産量は全国一を誇り、鹿児島県の枕崎や山川など他産地を大きくリードしてきたが、近年は鹿児島県産に全国一の座を奪われた。このため、ブランド力の復活を目指した研究が始まり、平成18年2月に申請を組合として決定した。
i )申請前
品質基準の設定に対し、組合員から「全商品では品質にバラつきが出る」、「基準に満たない商品はどうするのか」などの意見が出され、調整が必要となった。
ii )申請時
「由比桜えび」同様、「焼津鰹節」だけではなく、「焼津節」など様々な名称を使用していたため、周知性の証明のための資料収集に手間取った。
全量を地域ブランド対象商品とするのではなく、グレード維持のため、水分や塩分、加工方法などの品質基準を設け、出来上がった商品はブランド品審査会による無作為検査により、上品物(金ラベル)と普通物(白ラベル)とに分けて出荷している。
iii)登録後
ブランド品認定は、全体の底上げを図るため、全量の半分程度を目標としている。商品開発や輸出対策などのブランドの活用は各組合員が独自に実施。
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中小企業静岡(2008年10月号 No.659) |
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