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トピックス

平成19年度版
全国の中小企業組合の設立動向

事業協同組合の設立動向

事業協同組合は、全組合数の80.0%(47,207組合のうち、37,758組合)、平成18年度新設組合数の84.3%(827組合のうち、697組合)を占めるなど、圧倒的多数を占めている。事業協同組合の設立動向は、前述の全体の動向とほぼ同じであるため、ここでは平成18年度に設立された事業協同組合の組織別形態の動向と設立目的の状況についてみる。

新設組合の組織別形態と設立目的

(1)組織形態別の設立推移

平成18年度の組合の組織形態別の設立状況をみると、「同業種同志型」(424組合)、「異業種連携組合」(57組合)が多い。昭和62年度と平成18年度の構成比の変化をみると、「同業種同志型」(53.1%→60.8%)、「その他の組合」(3.8%→26.0%)がシェアを高めた一方、「同業種網羅型」(13.0%→1.7%)、「団地組合(工場団地組合、卸商業団地組合、流通団地組合の3形態計で3.8%→0.7%)などがシェアを低下させている。

(2)設立目的等の状況

4半期ごとに調査している設立状況について都道府県中央会からの報告をみると、新設組合が予定する事業の状況は以下のとおりとなっている。

《重点とする事業》

設立にあたって重点とした事業としては、「共同購買」、「教育情報提供」、「共同受注・販売」、「外国人研修生共同受入」、「共同宣伝・販売促進」が多くの組合で挙げられており、以下、「共同研究開発」、「調査研究」、「共同生産・加工」、「事務代行」、「金融事業」、「施設の設置・維持管理」、「共同検査」、「共同計算」、「共同労務管理」等が比較的多い。

1. 共同購買

「共同購買」は、多数の組合が実施を計画しており、業種・業態を問わず大きな設立目的の一つになっている。

2. 教育情報提供

「教育情報提供」は、同業種間の競争の激化や多様化する消費者ニーズに対応するため、技術力・技能の向上、新たな知識の習得の支援を目的として、様々な業種の組合で実施されている。

  • 一般機械・器具製造業
    経営資源の相互補完を目的に、将来的な経営革新及び新規事業への取り組みを念頭において組合組織を設立。組合員企業の現存の事業の調査、研究を行う。
  • 土木工事業、とび・土工事業
    解体工事技術の標準化及びリサイクルのための分別手法の標準化を研究していく。
  • 電子部品・デバイス製造業
    ISO規格に基づいた経営改善などの講習会や情報の提供を行う。

3. 共同受注・販売

共同受注も多数の組合が実施を計画しており、多様な連携による事業展開を目指す組合の設立がみられる。

  • 繊維製品縫製加工業
    繊維製品縫製加工業者が参集し、共同で 受注活動を展開することにより、受注量の 拡大と安定化を目指す。
  • 造園工事業
    官公需の入札競争が激化し、事業者単独では落札が難しくなっていることから、組織化により官公需の積極的な受注を目指す。
  • 土木工事業、建築工事業、左官工事業、電気工事業等の異業種組合
    公共工事の減少により危機感が増大している状況を踏まえ、それぞれの得意分野で活躍している地元企業を連結し、指定管理者制度を活用して民間委託業務の受け皿となることを目指す。

4. 外国人研修生の共同受入

  • 鉄筋工事業
    工事量減少、受注単価下落等厳しい状況 の中、組合を設立。共通の問題を組合として情報交換するとともに、受注機会拡大とコスト削減による経営効率化を図る。
    また、外国人研修生の受入事業を通じて海外交流を深め、鉄筋工事技術者の育成を図る。
  • 電子部品・デバイス製造業
    近畿北部に所在する電子部品組立・製造を行う中小企業者が連携し、効率的な共同受注事業システムを構築するとともに、組合員による中国での共同出資会社の設立を視野に入れ、外国人研修生共同受入事業の実施により、高度な電子部品製造・組立技術者の養成並びに国際貢献・国際経済交流を促進する。
  • 衣服・その他の繊維製品製造業
    縫製業界では、安価な海外製品の台頭等により、生き残りをかけた競争が続いている。連携を図り、技術の改善向上や共同購買を通じ経費を節減するとともに、外国人研修生の受入事業では、日本の技術・技能の習得や我が国の文化・伝統を伝え国際交流を深め、国際社会における組合員の地位向上を目指す。

5. 共同宣伝・販売促進

  • 不動産業
    不動産業、不動産コンサルティング業を営む事業者が、不動産コンサルティング業務の共同受注事業や共同広告宣伝事業を展開することによって、一般消費者へ「不動産コンサルティング業」の周知を図る。
  • 建築工事業(木造建築工事業を除く)、とび工事業等の異業種組合
    小規模事業者の自社ホームページ(HP)の運用を効率的及び効果的に行い、組合のHPと連動して共同宣伝事業を行うことにより、費用を削減。なおかつ多数の組合員が結集することにより、対外的にも効果的なインパクトのある宣伝を行う。