団塊ジュニア世代のファミリー層の志向は、広い戸建て風賃貸住宅へのニーズが高まっている。ただし、戸建て賃貸住宅は建築コストが割高などの理由で、大手企業が積極的に参入するには至っていない。
こうしたニッチな市場に着目したのが創業52年を迎える静岡市清水区の上條工務店だ。同社は近年、ユニバーサルデザイン宣言や自社ブランド「パティオホーム」の発売、ISO9001の取得など、次々と新機軸を構築。その推進役である上條弘素専務取締役が、今回、満を持して提案するのが戸建て賃貸住宅『ユニキューブ』である。
55坪程度の土地に2棟の独立したキューブ型アパートを建てることが基本で、従来型の賃貸不動産経営(2棟の借家)に加え、1棟から賃料収入を得ながら、他棟に自らが住む収益併用住宅を可能としたのが最大の特徴。「この方式なら、住み手も貸手も双方にメリットがあるはずです」。
過剰な装飾をできるだけ排除したシンプル、ハイセンスな木造2階建てで、1戸の延べ床面積は70平方メートル。55坪の土地で各戸に2台の駐車場が付く。建築費は2棟1セットで、1棟本体価格は735万円が目安。
合理化された設計、効率のいい間取りでデッキを標準装備。シンプルな箱型にすることでコスト削減を実現した。極狭地でも収益を上げる新土地活用法だ。
上條専務は、「若いファミリー層を対象とした戸建て賃貸住宅はほとんど流通していない。この希少性から多くのお問合せをいただいています」と期待している。 |