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“普通の中小企業”が活躍できる基盤を

 今や国をあげて構造改革が叫ばれている。
 さて、構造改革とは何か、といえば「現在の仕組みを変える」ということになる。
 その考えに私も賛成である。ではあるが、なにもかも、つまりミソもクソも一緒にして、ただ新しくさえすればいい、というものではないと思う。
例えば、失業率が五%の大台をこえた時点での世論調査でも、国民の政府への期待は「景気の回復と雇用問題の解決」がダントツに高い。その景気対策なり、雇用問題への対応策として、起業家の育成やベンチャービジネスの振興などが、国の新しい政策の重点となってきている。
 そのことについても、私は理解できる。
 しかし、いま日本国中を覆うなんともいえない閉塞感を少しでも払拭するには、国民経済全体に、あるいは社会生活全般の大半を占める中小企業の活性化こそが、大きなファクターといえる。
 ベンチャーも、ニュービジネスも、ITも大切だが、私に言わしむるなら、経済社会の基盤を支える、ごく“普通の中小企業”が、たとえ急成長でなくていいから、着実に活動が出来る経済社会でありたい。
 過る日、第四七回中小企業団体静岡県大会の席上、石川嘉延県知事は、中小企業が県内経済に占める比重がいかに高いかの例証として、「私の手許にあるデータによると、過去十年間での雇用者数をみると、大企業では七、〇〇〇人の減であるのに対し、なんと中小企業では同数の七、〇〇〇人もの雇用が増加している」と話され、参加者の強い関心をよんだ。
 新規創業も大事であるが、あたかも路傍のタンポポのように、雨にも負けず、日照にも負けず、踏みつけられても、なお営々として生き抜いてきた“普通の中小企業”の底力が見直される政策の推進こそ、重要であることを声を大にして要請するものである。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2001年 11月号 No.576)