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雇用問題に想う

 いまだ景気の動向ははっきりしない。政府は回復の兆しが出てきたとしているが、はっきり底を打ったとまでは踏み込んでいない。そして、雇用情勢はますます悪化し、完全失業者も高止まりしている。
 今年の経済白書では我が国の抱える過剰雇用を三月時点で二二八万人と計算しており、これら余剰労働力が失業者としてはきだされれば、失業率は八%台半ばに達するといわれている。雇用は先の見えない最悪の状況にある。
 こうした中、労働界や経済界からの要求の高まりから政府も雇用対策本部を設置、緊急雇用対策に懸命である。雇用創出のための各種助成や奨励金も用意され、また、されようとしている。
 私も先日、甘利労働大臣に直接お会いし「新規成長分野雇用創出特別奨励金」の中小企業への周知方についてご要請をお受けしたところである。
また、静岡県と経済労働五団体の雇用経済対策懇談会においては、雇用創出の一層の対策について石川知事にお願いを申し上げたところでもある。
 しかし、いくら支援策が整えられようとも、雇用の維持・拡大の主役はあくまでも民間である。
 ともすると、我々中小企業は長い不況のなかで、必要以上に自信を失い、いつのまにか人員削減と同義語のようになってしまったリストラという名の誘惑にかられていないだろうか。かつての起業家魂や中小企業スピリットをどこかに置き忘れそうになってはいないだろうか。
 こうした状況下においても、挑戦を続け、より従業員の育成に力を入れたり、不況を逆手に中高齢者の戦力化を図っている企業が多数あるのもまた、厳然たる事実である。加えて、あと数年で労働人口が減少に転じるという中長期的な視点も欠かせてはならない。
 「企業は人なり」というありふれた言葉をもう一度かみしめてみたいとも想う。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(1999年 10月号 No.551)