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動き出した中小企業経営革新支援法



■中小企業近代化促進法

 昭和三八年に制定され、我が国中小企業の組織化、設備の近代化を推進してきた。
 同法において、まず、指定業種が政令で定められ、主務大臣は各業種について近代化計画を策定しなければならない。指定業種の中で緊急に構造改善を行う必要のある業種(特定業種)については、組合や社団等が構造改善計画を策定し主務大臣の承認を受けることができ、承認を受けた計画に従って個々の中小企業が設備の近代化等を行う際に、中小企業金融公庫等からの特別融資や税制面での割増償却等の支援措置が
受けられる制度となっている。
 指定業種は昭和四五年には一二六業種に達し、平成十年六月時点では四七業種が指定を受け、そのうち四五業種が特定業種になっている。その傘下企業数を考え合わせると裾野の広い支援制度であるが、一方で、多くの業種において既に構造改善を終え、対象業種が減少してきていた。また、中小企業をめぐる経営環境は大きく変化しているのに対し、中小企業支援策の根幹を成すこの法律の体系は、昭和三八年の制定以来変っておらず、今日的な経営課題に対応したものとなっていないとの指摘があった。

■中小企業新分野進出円滑化法

 昭和五一年に制定された中小企業事業転換対策臨時措置法の系譜を引くものであるが、経済構造の変化に伴って売上高が落ち込んだ中小企業の新分野進出等を助成する措置を内容とし、平成五年に制定された。
 製造業等に属し、売上高が一定率以上減少している中小企業が新分野進出計画を策定し都道府県知事の承認を受けた場合に、中小企業金融公庫等から特別融資や機械・設備の特別償却又は税額控除等の支援措置が受けられるようになっている。平成十年時点の計画承認件数は二八〇〇件。対象業種が四業種に限定され、今後ますます進展が予想される経済のサービス化に対応できないことが懸念され、見直しを迫られていた。

2.経営革新支援の基本的考え方

 経営革新支援法において、「経営革新」とは、『中小企業者が、新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること』と定義されている。
 今日的な経営課題に対応するためには、新商品・サービス開発、販路開拓、人材育成等のソフトな経営資源に対する投資も設備投資とともにその重要性が高まっている。国としては、これらの実効性の高い経営革新を自らのイニシアティブで真摯に取り組む中小企業に対して政策資源を重点配分(支援)するとしている。
 「経営革新」については、新たな取組みが必ずしも業界全体で画一的なものである必要はなく、多様な中小企業がそれぞれ創意工夫をこらして経営革新に取り組むことが重要となる。
 一方、経営資源に限りがある中小企業が異業種を含め他の中小企業、組合やグループを形成して相互に経営資源を補完したり、大企業や国、地方の研究機関、大学等と連携など外部経営資源を有効に活用して経営革新に取り組むことも有効であることから多様な形態の取組みを支援対象とする。更に、組合が組合員の事業に反映する新たな生産方式の開発等を行ったり、その成果を組合員に対して導入することなどの積極的な役割を果すことも重要であるとともに期待されている。


中小企業静岡(1999年 8月号 No.549)