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電気に関わり55年
 黄綬褒章を受章

静岡県電気工事工業組合 理事長 加藤 明
利用者の安全が第一

 この春、長年にわたって電気工事業界の振興に力を尽くした功績が認められて、黄綬褒章を受章した。
 「思ってもみなかったことで恐縮しています」と謙虚に喜びを語る。
 電気との出逢いは昭和17年、氏が16歳の時。旧海軍機関学校で発電機やボイラーの技術を習得した。終戦後には東京の大学に進学し、アルバイトで戦災を受けた建物の配線修復の仕事に携わった。
 「機関学校で電気の理論を学び、大学時代に実務を経験した。若い時にいい勉強ができたと思います」
 その後、(株)不二工業に就職し、富士支店の開設と同時に支店長に就任した。支店では富士市周辺の製紙工場を中心に、ビルや住宅の電気工事を請け負う。
 「電気を使えるようにさえすればいいのではなく、利用者の安全を第一に考えなければならない。責任は重いですね」
 工事の際には、工場などの電気を止める時間を極力少なくしなければならないなど、苦労は多い。
 「制約がある仕事だけに段取りよく進めなければならない。そのあたりは創意と工夫でカバーしています」と語る。
技術レベルのアップに貢献
 組合では、約40年にわたり富士支部役員を務めるなどその運営に携わる一方で、技術担当の顧問も務め、組合員や後継者への技術指導を行ってきた。
 「この仕事は一つ処理を誤ると人命にも関わる事故につながる。それだけに、十分な技術と資格が必要なんです」
 関東・東海地区の技術競技大会の講師なども担当。入賞者の多くを本県が占めるなど、業界のレベルアップに貢献してきたことも受章理由の一つである。
 8年度からは理事長に就任。今年度は災害時に備え、無線を利用した情報ネットワーク作りに取り組む。
 「台風などの際には電力会社に協力し、組合員全員で復旧をお手伝いしてきました。これをより充実させて、地震などの大規模な災害に対応するための情報伝達手段を確保するのが目的です」と語る。
 趣味は健康のために続けているゴルフと、お孫さんのおもちゃの修理。
 「でも最近のおもちゃは複雑で部品集めに苦労しますよ」と笑う。
 大正14年11月生まれ。射手座


 中小企業静岡(1997年07月号 No.524)
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