google

クローズアップインタビュー

組合が創立50周年
商店街の意義を問い直す

沼津仲見世商店街振興組合
原田治行 理事長

JR沼津駅南口から徒歩2分、全長260メートルのアーケードに80近い店舗が軒を連ねる沼津仲見世商店街。沼津市やその周辺からの買い物客で賑わう県内屈指の商店街だ。その商店街組合の第5代理事長として、このほど創立50年の節目を迎えた。

「先人が積み上げた歴史の重さと厳しい時代にある商店街の舵取りへの責任を痛感しています」と表情を引き締める一方、「商店街の意義を問い直したい」と意欲を示す。

ここ20年ほどで県東部地域にも郊外型の大型ショッピングセンター(SC)が続々と進出。商店街の商圏は縮小しつつある。

「かつて駅前商店街は、商業一等地でした。しかし車社会のいま、広い駐車場をもつSCに比べ、商店街は不便という声もある。では、商店街はもう必要ないのか。そうではありません。地域の重要なコミュニケーションの場が商店街。あの人に会いたくてここを訪れる。そんな魅力ある商店街をつくりあげたい」と熱い思いはとどまらない。

「昭和50年代には、1日3万人を超えていた来街者が今は1万人。しかし、過去と比べるのではなく、将来に向かってこの街をどうしていくのかが重要なのです。1日に1万人もの人がここに足を運び、私たちを必要としている。そのことにもっと誇りと自信をもちたい」。

晩秋の沼津中心街に響く鳴子の音が心地よい“よさこい東海道”。その運営を12年前の立ち上げから担う。

「はじめは、沼津市内の14商店街がひとつになって新たな祭りを、と“沼津ワールドダンスフェスタ”として開催する予定でした。でも、どうせやるなら自分たちも踊って楽しめる祭りにしようと、企画をガラッと替えた」。

だが、参加者と資金が思うように集まらない。

「開催が2ヵ月後に迫っているのに、出場チームが揃わず、協賛金もさっぱり。商売そっちのけで、協賛金のお願いと出場者の勧誘に飛び回った。やるからには半端なことはしたくない、絶対に盛り上げたい、その一念だったね」と東奔西走した結果、参加者、協賛金ともに目標を超え、大会は大きな盛り上がりをみせた。この熱意こそ、沼津を代表するまつりの原動力だ。

カジュアルからフォーマルまで、幅広くレディース衣料を扱う原田衣料(株)の代表取締役。

「ひと目でぼくの商売を当てた人はいないね」と高校時代、ラグビー部主将を務めたラガーマンは快活に笑う。

「行く先々で語り合い、酒を飲み明かしてみたい」と見知らぬ土地の一人旅が目下の夢。