郊外型大型店とまちづくり
今、県下各地で郊外型複合大型店の進出ラッシュが続いている。民需拡大や経済の活性化には、相応の役割を果たしている。互いの競争激化により、商品の豊富さや低価格化を競うなど、歓迎すべきものもある。しかし、問題点も少なくない。
一例を挙げれば、静岡市北丸子に進出した大型店は、交通渋滞などによって、同地区にあるわれわれ同志中小企業の経営に、大きな打撃をあたえることが心配される。
と言うのは、この地区には国の施策にのっとった大きな工場団地がある。進出している企業の中には系列的企業が多いため、ジャスト・イン・タイムで、親企業に対し一日に数回の定時納入が求められているのだ。さらに中小企業の従業員のために、一日一万五千人の昼食を十二時までに届けなければならない給食協同組合もあり、渋滞の状況によっては死活問題になりかねない。
元々この国道は、静岡市のベッドタウン化の著しい藤枝市や島田市、岡部町からの幹線道路で、毎朝テレビ、ラジオで報道されている悪名高い“常習的交通渋滞地区”である。
団地協組の村田理事長は広域的な住みよいまちづくりの観点から「交通渋滞がさらに激化するのが分かっているのに、行政が開発許可するのがおかしい。」と、主張している。
改正された大店法(大規模小売店舗立地法)では、その本旨が従来の経済的規制から、住みよいまちづくりのための社会的規制に重点がおかれたはずだった。が、実際には法律の手続上から、現実に実施されてみると、この例のように逆の結果がでる羽目になってしまった。 このことは、ひとつの実例にすぎないが、政治はあくまでも、住みよいまちづくりを忘れないで欲しいものだ。
小泉内閣のお題目である、強いものが勝つが当たり前の競争原理至上主義では、結局は弱いものにシワが寄せられることを憂うものである。
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