1 組合報発行状況調査から

県中央会では、昨年十二月、会員組合を対象に「組合報発行状況調査」を実施。
 県内で、どれだけの組合が組合報(機関誌)を発行し、どのような体制で取り組んでいるのか。
 そして、どのような課題を抱えているのかなど、お答え頂いた六三四組合(回答率は五一%)の回答から、その姿をかいま見ることができた。

約一割が組合報を発行 ネックは「人手不足」
 まず、やはり気になるのが、どれだけの組合が広報誌を発行しているかという点。
 今回の調査結果では、回答いただいた六三四組合のうち、七五組合(回答数の十二%)で組合報を発行しているという結果がでた。
 この数字を意外に多いと見るか、また反対に少ないと感じるかは、ここでは読者の判断に委ねることとしたい。
 しかし、煩雑でしかも時間に追われる編集作業には、それなりの人手が必要なのは否めない事実。
 現在、広報誌を発行している組合も、そして発行したいと思いながら手が出せないでいる組合でも、「人手不足」が大きな障害となっていることが、この調査結果で明らかになっている。
 そのあたりを集計されたデータから探ってみると―――
 広報誌を発行する組合では、組合事務局が中心になって編集しているものが六五%を占めている。
 このように「組合事務局」が中心になり編集を担当するという傾向の中で、発行するうえで苦心している点を、「編集する時間が足りないこと」と回答した組合が二一%(この設問では第三位)あった。
 また組合報を発行していないと回答した組合のうち、「発行したいが現状では困難」とした組合は二割程度あるが、こうした組合からも、「予算」よりも「人手不足」をその理由にあげるものが多く見られた。
 組合事務局の広範な仕事からくる人手不足が、組合報を発行するうえでの大きな課題となっていることは事実だ。

組合が発行する広報誌

「組合報発行状況調査」集計結果(抜粋)
組合報発行の有(%) 年間予算(%)
発行している 12 予算なし 17
発行していない 88 10万円以下 31
発行回数(%) 11〜100 41
毎月発行 32 101〜200 5
2〜4カ月に一度 18 201万円以上 7
6カ月に一度 10 組合報の内容(%)
不定期 28 統計や業界情報 31
ページ(%) 組合の予定等の連絡 36
4ページ以下 54 特集の企画 13
5〜10ページ 24 組合員の近況紹介 9
11〜20ページ 15 関連業者へのPR 3
21ページ以上 7 一般等への啓蒙 5
発行部(%) 編集上の課題(%)
50部以下 26 編集時間の不足 21
51〜100 15
アイディア不足
23
101〜200 16 レイアウト 13
201〜500 20 予算不足 6
501部以上 23 組合員の反応がない 24
編集担当(%)
事務局中心 65 ※設問項目によっては、「その他」や「不明」の数値を割愛したため、100%とならない場合もある。
組合員から選出 18
外部委託 5

年間予算は「十万円」が主流
 次に組合報の発行回数を見ると、「毎月発行している」組合は全体の三二%。一方で、「発行は不定期」とする組合も二八%と、二極分化した結果が出た。
 またページ数では、「四ページ以下」という組合が半数以上を占め、必要な情報を手際よく取りまとめていることが伺えた。
 一方発行部数は、五〇部以下の組合が四分の一。この一方で、五〇〇部を超える組合も二三%みられた。
 組合報を発行するための予算はというと、「十万円以下」という組合が約三割。また、「特に計上していない」というものも十七%あり、この二つで五割近くを占める結果となり、限られた予算で発行されていることが伺えた。

 組合の事業予定を掲載
 ところで、組合報にはどのような情報を掲載しているのだろうか?
 調査結果では、「組合の近況や予定等の連絡」が三六%で第一位。これに「組合員が参考となる統計や業界情報」が三一%で第二位となった。また三位には「特集の企画」が入り、特定のテーマを設け、編集に取り組んでいる組合も多く見られた。
 お寄せいただいた組合報から、具体的にどのような記事が掲載されているか見てみると…
【組合の近況・予定】
 1.総会等の案内・経過報告
 2.組合の月例行事予定
 3.組合人事異動、叙勲関係
 4.研修会・講習会の開催告知
 5.業界に関係した催事の告知
 6.青年部、委員会等の紹介
 7.共同事業に関係した通知
 8.各種制度・保険等の紹介
【統計や業界情報】
 1.業界の景況・市況統計情報
 2.技能・新技術に関する情報
 3.専門家、役員・組合員からの寄稿・座談会
 4.アンケート調査結果
 5.講演録の掲載
 6.業界(組合)の歴史紹介
 7.海外事情の紹介
 8.労働、環境問題
と、いったものが主なものとなる。また、「統計・業界情報」は、特集のテーマとして利用されているケースも多い。

読者(組合員)の反応が見えない!
 先に編集上の課題として、「編集時間の不足」が第三位だったということを紹介した。
 この設問結果の第一位は「組合員からの反応が見えない」(二四%)。第二位が「企画・アイディアの不足や情報の不足」(二三%)。そして、先にあげた「編集時間の不足」(二一%)がこれに続き三位となった。
 組合員からの反応を知りたいという心情は、編集を担当する者にとっては当然のこと。批判を含めた読者からの反応は、編集担当者にとっては、このうえない励みとなる。しかし、その反面、読者からの反応はなかなか得られないのも事実。そういう意味で、「組合員からの反応が見えない」という項目が、技術面や予算上の課題を押さえて第一位になったことは、至極当然の結果といえる。
 このほか、「レイアウトが難しい」といった”技術的”な点を上げる回答も見られたが、「予算不足」をあげる回答は少なかった。
 いずれにしても、「予算」よりは、時間や人手が組合報の発行を実現するための重要なファクターであるといえそうだ。

■組合が発行する広報誌−1
〜「組合員参加型」を目指す〜
誌  名
 
発行組合
発行回数
体  裁
発行部数
編集担当
 
主な内容

 





 

静岡県電気工事業
界報「Shizuoka」
静岡県電気工事(工)
2カ月に1回
B5版36ページ
2,000部
広報委員会
(組合員から選出)
1.経営講座
2.首長訪問
3.理事随想
4.支部だより
 理事長、広報委員長等9人で構成する「広報委員会」が編集を担当。
 2カ月に一度行われる定例会で編集方針を決め、委員会のメンバー自身が取材し、原稿を作成する。技術情報や組合の活動を紹介するとともに、理事からの寄稿記事を掲載するなどして、「組合員参加型」の広報誌を目指している。
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中小企業静岡(1998年 2月号 No.531)