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「あれやこれや」

 前置きが長くなりましたが、決算書に記載された各々の数字がどの様にできているか、というところから先ず考えて見ます。
 私は警察官時代、警察学校でこの「CoCo壱番屋」のレシートを使って講義を行ったことがしばしばあります。なぜかといえば、レシートの情報量が非常に充実しているからです。犯罪捜査においても五W一H(業界=警察では「六何の原則」という)はとても大事なのですが、このレシートを見るとその殆どがカバーできていることが分かります。
 例えば被疑者(犯人のことです)が「ここでカレーを食べた」と申し立てた場合、その裏付けのためにどんな供述調書を作るか、といったことを講義する際に使うわけです。
 皆さんが経理の担当者であったとして、営業担当者がこんなレシートを経費の精算書に紛れ込ませてきた場合、どうするでしょうか?
 このレシートを見る場合、見るべき部分は店の所在地(営業エリアとして不自然でないか)
・領収書の日付(土曜、休日でないか)
・何名で、どれだけ食べたか(相手は誰か)という辺りになります。実はこのレシートの日付は土曜日です。
 また員数の下に(M:1F:1C:1)という記載があります。つまり男一名、女一名、子供一名、ということです。さらっと見ていると分かりませんが、よく見れば、どうやら家族で食べたレシートを紛れ込ませてきたらしい、という結論になるわけです(実は本当にそうなのです)
 特に大きな会社の決算書を見ると、売上高一兆円、とか現預金残高が五百億円、とか現実離れした数字が並んでいますが、そういう数字の背後にはこうした一枚一枚の小さなレシートや領収書があり、そのそれぞれにドラマがあるわけです。



中小企業静岡(2005年8月号No.621)