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平成12年度 組合設立白書



新設の半数は共同受注がメイン

 過去十年間にさかのぼったデータをみても全体の三割を超える組合が共同受注を目指して設立されている。さらに、十年度二一組合中十二組合、十一年度三一組合中十六組合と、このところ連続して設立組合の半数が共同受注を主要事業に据えている。
 十二年度設立組合の中心は、基本的にはその延長線上にある。設立二五組合中、半数にあたる十三組合が共同受注及び斡旋を主要事業に掲げている。
 しかし、その背景は、規制緩和、情報技術の進展、高齢化・福祉介護の問題など、新たな課題を含め、様々な要因が絡み合っている。受注内容も多彩だ。



規制緩和が危機意識を高める

 公共施設への納入等の共同受注を目指している田方エルピーガス販売事業(協)は、規制緩和が進み、田方郡内にも県内外の大手業者や都市ガス会社の進出が顕著になってきたことへの危機感が一因。
 焼津保険薬局(協)と清水保険薬局(協)は、医薬分業に伴うファックス等の共同利用事業が主だが、背景には、保険薬局業を含む医薬品小売業を取り巻く環境は、国が進める規制緩和と医療費の抑制策によってここ数年大きく変化していることがある。問屋の再編も進み、小売では値引き合戦、大手からの新規参入等で競争が激化している。
 規制緩和とそれに伴う競争激化は、新たな市場へのチャンスを与えていると同時に厳しい試練を与えている。些少なりとも、かつては公的規制や金融機関がセイフティネットの役割を果たしていたが、そうした面も徐々に縮小されている。
 なお、共同受注事業全体では、県の建具工事の分離発注化に対応し、受注体制を整備している沼津建具家具(協)や東部地区の造園工事業者が集結して第二東名を含む大型プロジェクト関連の受注を目指している静岡県東部緑化事業(協)など官公需を目指す組合が引き続き多い。



IT関連組合も設立

 IT(情報技術)関連事業の組合も二組合が生まれた。
 ひとつは、沼津市で誕生した静岡インターネット事業サポート(協)。広告代理業、デザイン業などを含む四名がノウハウを結集し、コンテンツ製作、画像撮影等の一連の業務を行っている。加えて、沼津市から委託を受けたIT研修会などの実績も着実にあげている。
 そして、ひとつは(協)ネットベンチャー静岡。「静岡マルチメディア・ソフト・インキュベートセンター」に入居していた四社が今後増加を見込める電子入札・電子受注システムの開発、デジタル印刷技術の応用分野などで大手と受注を競っていく。情報技術関連組合は既に多数存在しているが、インキュベート施設を基盤にしたのは、初めてとなる。



多方面わたる情報技術の影響

 情報技術の発展は、広範囲な業種で、大きく影響を及ぼしている。
 (協)静岡県西部人材育成センターと静東人材開発(協)。前者はインドネシア、後者はベトナムを中心に外国人研修生の受入れ事業を展開する。外国人研修生受入れ事業組合がここにきて二組合できた理由のひとつには、情報技術の進展が中小企業の海外進出意欲を再燃させたことがあげられる。
 インターネットは、中小企業にとっても情報ネットワーク化を進める容易かつ重要な手段。両組合とも、研修生受入れと情報技術の導入を併行して推進し、海外取引や現地進出への布石を着実に打ちつづけている。


中小企業静岡(2001年 6月号 No.571)