維持管理上の問題も
設立状況
平成十一年七月三一日現在、静岡県下に団地組合は五三組合あり、東部地区に十七件、中部地区に十一件、西部地区に二五件といった分布状況である。
東西に団地組合が多く中部地区が少ない。この背景には団地用地の問題もある。ちなみに中部地区では昭和六三年頃、トラック団地またはターミナル等の建設を目指した組合を四件設立したが、十年以上経過した今日でも候補地が見つかっていない。
静岡市内では候補地があっても沼地のため地盤が軟弱であったり、清水市内では候補地が傾斜の厳しい山間部であったりして団地適地がないのが現実である。
一方、西部地区では三方原台地のように、なだらかな丘陵地帯を開発した団地や、遊休化した養鰻池を開発した団地もありるが、計画後五年前後で実現化している。
補完事業
団地に進出後、組合員工場の増設などの補完事業を実施する組合は少なかった。
しかし、西部地区では、増設を希望する団地組合が徐々に現れており、着工年度で平成十年と十一年に各一組合ある。
平成十一年度中に着工を目指す(協)浜松技術工業団地の計画は、現在の敷地内に工場等を増設するのではなく、組合員七社が隣接する土地を新たに約十万平方メートル開発する大規模な計画となっている。
団地組合が抱える問題
団地組合では、組合員の倒産により組合の意に反した企業が入り込まないように、高度化資金を返済中の組合は不動産売買予約及び使用貸借契約を締結したり、高度化資金を完済後は、組合が買い手となる再売買予約契約を締結している。
団地進出時には、制度としての制約があり契約の締結が円滑に行われる。
ところが高度化資金を完済した組合では制約がないことから、倒産による入れ替え組合員や世代交代による組合員が多くなるにつれて、当初の運命共同体的な団地組合意識が薄れ、再売買予約契約の更新が円滑に進まない組合が現れている。
契約を締結することで組合員の土地・建物に規制が生じるが、問題は契約書に同意しない組合員への対応が難しいことである。
契約拒否が除名の対象となるか、対象となっても当該組合員が所有する不動産の買取義務が生じるなど、組合の負担は大である。また進出後、組合員の事業活動が拡大するにつれて工場の拡張などの補完事業を希望する組合がある。
補完事業の際は、連帯保証人の問題があり、静岡県では団地組合の連帯保証人を全組合員としている。補完事業を参加しない組合員も連帯保証人として、その責任を負うことになる。
参加しない組合員の中には、連帯保証人を拒むものが現れることが予想され、最悪の場合、補完事業を中止する事態に追い込まれる組合もあろう。
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