特 集 
 「くみあい百景」 
 編集室便り 





 クローズアップ  商工中金 渡辺敬介静岡支店長に聞く 


 長期的な視点でお客様のニーズにお応えしたい

 7月14日、商工中金静岡支店長に渡辺敬介氏が着任した。
 顧客ニーズへの柔軟な対応を身上とする新支店長に、
 組合振興への思いを聞いた。

 聞き手:編集室



お客様の喜びを励みに

赴任されてまだ日が浅い中で恐縮ですが、静岡の印象はいかがですか?
渡辺 製造・卸・小売・サービス業など各産業が、トータルにバランスよく発達しているのではないでしょうか。温暖の地さながらに人柄も温厚。皆様には大変温かく迎えて頂き感謝しています。
ところで、これまでの支店経験の中で、特に強く印象に残った点は?
渡辺 最近では、団地金融の改革に取り組んだ経験が印象的でした。その工業団地は転貸融資の形態を、いわゆる「横割り」から「縦割り」に変更したのですが、これには大変苦労しまして、一年以上かかりました。
 多くの工業団地がそうであるように、組合員の団地内の土地・建物を担保提供し、また、組合役員全員を連帯保証人として、金融事業を多数転貸方式(横割り)で実施していました。ところが、二世の時代になると「何十億円の保証はできかねる」という切実な意見が出てきまして。
 当時不況の真っ只中でしたから、どこがいつ経営不振になってもおかしくない風潮にあったと同時に、担保物権の時価下落が続き、保証に消極的な組合役員の言い分もよくわかります。
 そこで提案したのが、一社転貸方式で、自社の融資枠内で保証をすればよい、という「縦割り」融資への切り替えをお勧めしました。実は、この金融事業は地元金融機関二行と協調対応していたため、担保設定や保証人変更など条件設定の合意までには相当骨が折れました。時間も労力もかけたけど、組合の要望にお応えできた達成感は大きかったです。
お若い頃の思い出はいかがですか?
渡辺 今でこそ珍しくはないのですが、提案・情報営業の走りみたいなことを三○才前後に、ずいぶん勉強しました。
といいますと?
渡辺 一例では、ある担当企業から遊休資産の運用に関するご相談があったので、大胆にも三つの遊休資産の売却と賃貸物件の取得計画を提案したのです。このとき気付いたのが、経営者は本業に多忙で法務実務は不得手な人が多いという点。そこで、経営者にわかりやすいスキームを描くと共に、物件の売買実務では専門家を紹介したりしてサポートさせていただきました。その過程で社長さんとの意見のすり合わせを充分にさせていただきましたが、希望に合った物件探しに一年半もかかったでしょうか。でも、その社長には心から感謝の言葉を頂きまして、この経験は大きな励みになりましたね。



中小企業静岡(2004年9月号 No.610)